【焦点】米インフレが加速も、関税の転嫁進む-豪中銀が政策決定へ

米国では7月、基調的なインフレがわずかに加速したとみられる。輸入関税の引き上げに伴い小売業者がさまざまな商品で徐々に値上げに動いた。

  ブルームバーグが集計したエコノミスト予想の中央値によると、7月の米消費者物価指数(CPI)は食品とエネルギーを除くコア指数で前月比0.3%上昇したとみられる。6月は0.2%上昇だった。

  予想通りなら今年最大の上昇となるが、ガソリン価格の下落が全体の物価上昇を和らげた可能性がある。総合CPIの伸び率は0.2%にとどまる見込みだ。統計は12日に発表される。 

  米国の関税引き上げは、家具やレジャー用品などの分野で消費者物価にじわじわと反映され始めている。一方、コアサービスのインフレ率を示す指標は今のところ抑えられている。ただ、輸入関税の影響が今後、徐々に広がっていくとみているエコノミストは多い。

  関税が持続的なインフレにつながるか見極めようと、政策金利を今年据え置いている米連邦準備制度の当局者にとって、こうした状況はジレンマとなっている。金融政策のもう一つの責務である労働市場は勢いを失う兆しが見られている。

  労働市場の底堅さに対する懸念が強まる中、価格に敏感な消費者への関税転嫁を抑える方法を模索している企業は多い。エコノミスト予想によると、15日に発表される7月の米小売売上高は堅調な伸びを示す見通し。販売奨励策が自動車販売を押し上げ、アマゾン・ドット・コムのセール「プライムデー」でネット通販が活況を呈した。

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  ただ自動車ディーラーを除く売上高は、より穏やかな伸びにとどまるとみられている。また、インフレ調整後では消費支出の勢い不足が浮き彫りになる見通しだ。

  このほか15日に発表される米鉱工業生産指数では、変化する関税政策への対応を製造業者が求められる中で生産停滞が示されるとみられる。

  米中双方の高関税を一時停止する合意は12日に失効するが、延長される可能性も残されている。

  カナダ銀行(中央銀行)は、政策金利を3回連続で2.75%に据え置いた会合に関する議事要旨を公表する予定。景気が減速しインフレが抑制されれば、追加利下げの可能性もあるとしている。

  オーストラリア準備銀行(中央銀行)は、4-6月(第2四半期)のインフレ率が一段と鈍化したことを受け、12日の金融政策決定会合で今年3回目の利下げに動く見通しだ。

  その他では、中国の複数の経済指標、英国とスイスの国内総生産(GDP)などが注目されている。

原題:US Inflation to Rise as Higher Tariffs Feed Through: Eco Week(抜粋)

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