ウォラー理事、準備残高まだ「潤沢」-ランオフ減速への反対理由説明
- 保有国債の縮小ペース、ウォラー氏は維持をFOMCで主張
- 減速する「段階にはまだない」-FRBが理事のコメントを公表
ウォラー米連邦準制度理事会(FRB)理事は、銀行システムにはなおFRBが月間の米国債ランオフ(償還に伴う保有証券減少)ペースを維持できるだけの豊富な準備金があるとの考えを示した。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は18、19両日に開催した定例会合で、バランスシート縮小ペースの減速を開始する方針を示した。4月から米国債ランオフペースの上限を月間250億ドル(約3兆7200億円)から50億ドルに減額することを決定。住宅ローン担保証券(MBS)については、現行の月間上限350億ドルを維持した。
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ウォラー氏はランオフペースを月額250億ドルで維持することを主張し、FOMCでこの決定に反対票を投じた。
「準備金が『十分』な水準に近づくのに伴い、保有証券の償還をさらに減速あるいは停止するというのは適切だろう」とウォラー氏はFRBが21日に公表した声明で指摘。「しかし、私の見解ではまだその段階にはない。準備残高は3兆ドルを超えている。この水準は『潤沢』だ」と説明した。
「短期金融市場の指標や関係筋の情報では、銀行システムが『十分』な準備金の水準に近づきつつあるとの兆候は示されていない」と同氏は続けた。
その上で、FRBはポートフォリオの縮小過程で市場の混乱に「対応するさまざまな手段」を有していると語った。
米金融当局は2020年に米経済が新型コロナ禍に見舞われた後、市場の混乱を和らげ、景気刺激を強化するため、巨額の米国債を購入した。当局のバランスシート総額は22年4月に8兆9700億ドルに急増した。20年の年初時点は4兆2000億ドルだった。
FRBは22年6月以降、量的引き締め(QT)として知られるプロセスで保有資産の圧縮を続けている。月間の縮小ペース上限額は24年6月に、それまでの600億ドルから250億ドルに引き下げられた。
原題:Fed’s Waller Sees No Evidence Reserves Are Nearing ‘Ample Level’(抜粋)