「ステーブルコイン」 秋に日本導入へ 世界で広がる電子決済
ニュースのその先を考える記者解説、きょうのテーマは「今年日本に上陸 ステーブルコイン」。経済部・民間キャップの後閑駿一記者が解説します。◇ ◇ ◇
"ステーブルコイン"という言葉、耳慣れない方も多いと思いますが、「ステーブル」とは、英語で「安定した」という意味で、法定通貨などで資産を担保して、その価値を安定させるように設計された電子決済手段の1つとして、いま、世界で広がっているんです。
日本でも、今年秋に円を資産として担保する初めてのステーブルコイン「JPYC」の発行が始まる予定で、今後さらに身近なものになる可能性を秘めています。――ステーブルコイン、私も初めて聞いたんですが、これは、ビットコインなどの仮想通貨と呼ばれていた暗号資産のようなものなんでしょうか?
似たイメージをもたれると思いますが、両者には違いがあります。
ビットコインなどの暗号資産は、担保となる資産がなく、価値が上がったり下がったりする価格変動が大きいのに対し、ステーブルコインは、基本的にドルなどの法定通貨を資産として担保しているため、価格変動がほとんどありません。そのため、暗号資産が投資の対象となる一方で、ステーブルコインは、日常の支払いや送金などに適しているとされています。金融庁も、暗号資産とは明確に区別して法整備を進めています。――ステーブルコインが日本でもさらに使えるようになると、どんな利点があるんでしょうか?
ステーブルコインを使用すれば、銀行などを介することなく海外への送金が可能になるので、わずかな手数料で、国外にいる留学生や、家族などへの送金をできるようになります。
「JPYC」は、当面の間は発行などに関する手数料をゼロにするとしていて、既存の電子マネーで発生している店舗への手数料などが抑えられることも利点の1つです。
今後は、クレジットカードでの決済にも使えるようになるほか、給料をステーブルコインで支払うことを検討している企業も出てきているということです。