星は「二度死ぬ」こともある…「二重爆発」の超新星の残骸を発見(ハンギョレ新聞)
「死ぬのは一度きり。二度は死なない」 必死の覚悟を誓う時に使うこの言葉は、地球の生命の世界ではありえない状況を皮肉った表現だ。しかし、星が明滅する宇宙では実際に起こることのようだ。 天文学者たちが、星が2回の爆発を起こしたことを示す「二重爆発」の証拠を捕捉した。太陽より8倍以上重いか、一定の条件を備えた星は「超新星」という途方もない爆発を起こし生涯を終えるが、これに照らしてみればこの星は2回死んだわけだ。 オーストラリアのキャンベラにあるニューサウスウェールズ大学の研究陣が中心となった国際研究チームは、ヨーロッパ南天天文台(ESO)の超巨大望遠鏡(VLT)と多重分光探査装置(MUSE)を利用して、地球観測基準で約400年前に爆発した大マゼラン銀河の超新星「SNR0509-67.5」の残骸を分析した結果を、国際学術誌「ネイチャー天文学」に発表した。研究チームは分析の結果、この残骸から星が2回爆発したことを示す構造が発見されたと明らかにした。 ■地球の重金属の主な供給源 16万光年離れた距離にあるこの星は白色矮星だ。白色矮星は、太陽と似た質量を持つ星が核融合の燃料が枯渇した後に赤色巨星に膨らんだ後、生の最後の段階に高密度の核だけが残った状態を指す。 白色矮星が起こす爆発はIa型超新星と呼ぶ。しかし、白色矮星は生を終える時、自ら超新星爆発を起こすことはできない。自分の重力を利用して周辺の同伴星から水素とヘリウムを引き込んで死の爆発を起こすことができる。引き込んだ物質が積もり、自己の重力がこれ以上耐えられない質量に達した時に爆発が起きるが、その臨界点は太陽の質量の1.4倍で一定だ。これを「チャンドラセカール限界」という。この超新星は爆発時に最大明度が同じなので、宇宙で距離を測定する「標準燭光」として使われる。1990年代にIa型超新星の観測を通じて宇宙の膨張が加速しているという事実を発見した科学者たちは、2011年にノーベル物理学賞を受賞した。 超新星爆発はまた、私たちの体内の鉄分を含め、地球に広く分布する重金属の重要な供給源でもある。科学者たちは、私たちの銀河にある鉄の半分以上が1a型超新星で生成されたものとみている。地球質量の32%が鉄だ。 ■二重爆発、どうやって起きるのか 科学者たちはしかし、単一の超新星爆発だけでなく、チャンドラセカール限界の質量に到達する前の二重爆発形態の超新星爆発の可能性についても注目してきた。単一爆発だけでは、今の超新星の数をすべて説明することができなかったためだ。最近は、二重爆発が超新星の残骸に2つの分離されたカルシウムの皮を作るというコンピューターシミュレーションの結果も出た。 ニューサウスウェールズ大学の研究チームは今回、正確にこの予測に当てはまる二つのカルシウム層を超新星の残骸から発見する成果を上げた。原子番号20番のカルシウムも超新星爆発で生成され、放出される元素の一つだ。研究チームは、これがこの星に二重爆発が起きた証拠だと明らかにした。同伴星から引っ張ってきたヘリウムが幾重にも積み重なって不安定になり、最初の爆発をした後、内側に伸びた衝撃波が星の核を強く打ち、2番目の爆発を起こし、2つのカルシウム層が形成されたということだ。研究チームは、最初の爆発はチャンドラセカール限界に達する前に発生し、2番目の爆発で超新星が完成したと説明した。 ■あっという間に2次爆発につながる 研究チームの一員であるドイツのハイデルベルク理論研究所のイボ・ザイテンツァール研究員は、ウェブメディア「マッシャブル(Mashable)」のインタビューで「2回目の爆発はおそらく2秒後に起きたとみられる」として「これはヘリウム爆発が白色矮星の片方の端から他方の端まで移動するのにかかる時間とほとんど同じだ」と話した。研究チームはまた別のシミュレーションの結果、同伴星も一緒に連鎖的に爆発する四重爆発超新星も可能であることが分かったと明らかにした。 研究チームは「今回の発見は、一部の星はチャンドラセカール限界の質量以下でも二重爆発を通じた超新星爆発が自然に起きうるという実質的証拠だ」と明らかにした。 研究を率いたニューサウスウェールズ大学のプリヤム・ダス博士課程研究員は「今回見つけた二重爆発の証拠は長年の謎を解いてくれたのはもちろん、視覚的にも美しい層状構造をプレゼントしてくれた」と話した。 *論文情報 Calcium in a supernova remnant shows the fingerprint of a sub-Chandrasekhar mass explosion. Nature Astronomy(2025) doi: 10.1038/s41550-025-02589-5 クァク・ノピル先任記者 (お問い合わせ [email protected] )