ブラジルが記録的ドル売り介入、効果持続には疑問符-当局者に無力感

通貨急落のブラジルで、ルラ大統領の経済最高顧問らは厳しい現実に向き合いつつある。顧問らの間では、パニックの阻止にできることはほとんどないとの懸念が広がっている。

  ブラジル・レアルを過去最安値に至らしめた債務懸念と資本流出を落ち着かせるには、大胆な緊縮パッケージの断行が有効かもしれない。だが、緊急の脳手術を相次いで受け、サンパウロの自宅で快方に向かっているルラ大統領は、緊縮政策の追加に全く関心を持っていない。

  顧問らはまず、大統領の説得を数週間続けなければならなかった。議員らも緊縮政策に反対している。緊縮パッケージを弱める目的で、法案が議会を通過する過程で議員らは修正を加えようとしている。

   ブラジルの債務危機懸念は今に始まったことではなく、ルラ氏が初めて大統領に当選する前の2002年にも市場に激震が走った。現在のブラジルの外貨建て債利回りは当時と比べればわずかでしかなく、今回の危機がかすんで見えてしまうかもしれないが、本質は同じだ。フランスと同様に、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期に急増し、その後もほとんど減っていない債務に資金をもはや提供する気分に投資家はなっていないのだ。

介入

  ブラジルはカンポス・ネト中銀総裁が「普通でない」と呼ぶ資金流出に見舞われる中で、通貨安に歯止めをかけようと為替市場の介入を強化。先週1週間にはほぼ毎日、直接あるいはスワップを通じて介入に入り、レアルを押し上げるために140億ドル(約2兆2000億円)近くを費やした。

  19日だけでもブラジル中銀は80億ドルのドル売り入札を実施。ドル売り入札は2日連続で、ブルームバーグがまとめた中銀データによると、1日の規模としては同国が変動相場制に移行した1999年以降で最大となった。

  入札後にレアルは2%余り上昇したが、多くの場合、介入の効果はほぼ数時間しか持たない。スワップ金利はほとんど反応せず、今後のさらなる利上げを織り込んでいる。

  ロベコ・インスティテューショナル・アセットマネジメントで2000億ユーロ(約32兆7000億円)の資産運用を手がけるダニエラ・ダコスタ・ブルトハイス氏は「ブラジル政府に信頼性がない」と指摘。「株式市場とレアルは、解決が難しい極めて複雑な経済情勢を織り込み始めている」との見解を示した。

原題:Brazil Spends Record $8 Billion to Stem Market Rout Lula Sparked(抜粋)

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