ドルは逃避先としての地位を失うリスク、世界情勢の変化で-ドイツ銀
- 広範なドル安進行の見通しに一段とオープンマインドになっている
- 「世界における米国の2大柱が根本的に問われている」-リポート
世界の市場が新たな地政学的秩序に適応するのに伴い、ドルは伝統的な安全逃避先としての地位を失う可能性があると、ドイツ銀行は指摘した。
ドイツ銀の為替戦略世界責任者ジョージ・サラベロス氏は、「当社は軽々しくこれを書いているわけではない。世界的なシフトのスピードと規模があまりに急速なため、これを可能性として認識する必要がある」と顧客向けリポートに記述。「世界の経済および地政学的関係において、数日単位で起きている変化の規模を過大評価するのは難しい」と続けた。
ドルは3日に下落し、一段高を見込んでいた投資家を失望させた。米国は主要貿易相手国に対する関税賦課に踏み切ったが、ドル指数は4日も一時0.7%安。関税措置はドルを押し上げる可能性が高いとおおむねみられていた。
「この日の市場の反応で際立っているのは、ドルが大きく上昇していないことだ」とサラベロス氏。「年初時点でこうした市場の動きは想定していなかっただろう」と記した。
トランプ米大統領が欧州大陸への安全保障提供を後退させていることを受け、欧州連合(EU)が防衛費拡大の取り組みを進めていることも影響している。ドイツ銀は先週、長らく続けてきたユーロに対するネガティブな見通しを取り下げた。
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「これらを総合すると、広範なドル安トレンドが進行する見通しに関して、われわれは一段とオープンマインドになり始めている」とリポートでは指摘。「世界における米国の2大柱が根本的に問われている。欧州に対する米国の安全保障支援とルールに基づく自由貿易の尊厳だ」と論じた。
原題:Deutsche Bank Sees Risk of US Dollar Losing Safe-Haven Status(抜粋)