中国不動産危機、経営者のリスク浮き彫り-借入金訴訟で出国禁止措置
Jackie Cai
- 杭州市の裁判所、不動産業界大物の息子に出国禁止命令
- 経営者、責任問われる可能性-危機発生後に個人保証が一般化
中国不動産業界の大物の息子が、借入金を巡る紛争に関与しているとして出国を禁じられた。事情に詳しい関係者が明らかにした。数年に及ぶ不動産危機で、業界内で経営者が直面するリスクがあらためて浮き彫りになっている。
浙江省杭州市の裁判所は先月、張量氏に対し出国禁止を命じた。関係者が非公開情報だとして匿名を条件に語った。
不動産開発を手がける広州富力地産の共同創業者、張力氏の息子、張量氏は実地地産の経営権を握る株主で、同社が行った借り入れに関する保証義務を果たさなかったと裁判所は判断した。裁判所は先に張量氏がその債務について責任を負うと結論付けていた。
出国は禁止されているが、張量氏が拘束されているとの情報はない。未解決の民事訴訟に関与している人物に出国を禁じる国は多い。こうした訴訟は、中国企業から資金を回収する難しさと、紛争を解決できなければ経営者個人が責任を問われる可能性を示している。
関係者によれば、不動産危機の発生以降、経営者が個人保証を提供することが苦境に陥っている建設会社の間で一般的になっている。
今回の紛争は2022年にさかのぼると関係者は説明。企業情報データベースの天眼査によると、債権者の中建投信託が当時、実地地産とその複数の子会社、さらに「張」という姓の人物を相手取り、貸付金約11億6000万元(約240億円)に関して訴訟を起こした。
実地地産と中建投信託、杭州の裁判所に電話したが応答はなかった。中建投信託はコメントを求める電子メールにもすぐに回答しなかった。
原題:Chinese Tycoon’s Son Barred From Leaving China Over Loan Dispute (抜粋)
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