トランプ氏、自身を批判する放送局の「免許取り消し」の可能性に言及

トランプ米大統領は18日、米国のテレビネットワークが自身に対して過度に批判的であれば、放送免許に関して精査を受けるべきだと述べた。報道の自由に対する脅しとしては、これまでで最も踏み込んだ発言となる。

  トランプ氏は「ネットワーク局が放送する夜の番組はトランプ攻撃ばかりだ」と大統領専用機エアフォースワンで記者団に発言。「免許を与えられている立場でそんなことは許されない。彼らは民主党の手先だ。免許を取り上げるべきだと思う」と語った。

  また、ABCが保守派活動家チャーリー・カーク氏の殺害事件に関する発言を理由に、ジミー・キンメル氏の深夜のトークショーを無期限で打ち切りにした決定を支持し、「これこそが放送免許の観点でも議論されるべき問題だ」と述べた。

関連記事:米トーク番組打ち切り、「権力乱用」と民主党が非難-オバマ氏も言及

  こうした発言は、米国憲法で保障され、長年守られてきた言論・報道の自由との衝撃的な決別を意味する。

  トランプ氏は今週、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)に対して150億ドルの名誉毀損(きそん)訴訟を起こしたと明らかにしている。トランプ氏は共和党の同調者と共に、米国の主要メディアが保守派に偏見を持っていると長年主張してきており、CBSやABC、NBCに対し、トランプ政権を頻繁に批判する深夜のコメディ番組司会者を降板させるよう繰り返し求めてきた。

  トランプ氏はこの日のスターマー英首相との共同会見でも、「ジミー・キンメルは低視聴率が主な理由で降板させられた。加えて、チャーリー・カークという立派な人物についてひどい発言を行った」と述べた上で、「それを言論の自由と呼ぶかどうかはともかく、才能がなかったから解雇されたのだ」と語っていた。

  トランプ氏は機内で米連邦通信委員会(FCC)のカー委員長を称賛。自身が否定的と判断する放送内容と、その結果としてテレビ局の免許が取り消される可能性について、直接的な因果関係に踏み込んだ。

  トランプ氏は「どこかで読んだが、ネットワークは97%が私に反対だった。私への評価は97%がネガティブだ。それでも私は容易に選挙で勝った。七つの激戦州をすべて制し、得票数でも勝った。彼らは97%が反対だ。私に関するメディア報道は徹底的に悪いものばかりだ」と主張。「彼らは免許を与えられている。その免許は取り消されるべきかもしれないと私は思う。最終的にはカー委員長次第だ。カー氏は傑出している。わが国を愛する愛国者で、タフな人物だ。今後の展開はどうなるだろうか」と語った。

原題:Trump Threatens to Ax Licenses of TV Stations That Criticize HimTrump Threatens Licenses of TV Stations That Criticize Him (1)(抜粋)

— 取材協力 Hadriana Lowenkron, Michelle Jamrisko and Ben Holland

関連記事: