Game*Sparkレビュー:『ボーダーランズ4』ジョークやや控え目、手ごたえもコンテンツも増えてより楽しい
「ディアブロ」に代表される、いわゆる「ハクスラ」とFPSを融合させた「シューティングRPG」ジャンルの人気を決定づけたシリーズ「ボーダーランズ」。その最新作『ボーダーランズ4』が、9月12日にいよいよ発売されます。間にはスピンオフ的なタイトル『ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界』を挟みましたが、ナンバリングタイトルとしては6年ぶりとなる新作です。
今回は、2K Gamesさまより事前にキーをご提供いただきましたので、本記事ではそのレビューをお届けします。なお発売前のタイトルであるため、ストーリーに関するネタバレには触れないよう配慮していますが、気になる方はご注意ください。
また、本稿は制作期間に限りがあったためプレイ開始から20時間弱という段階で執筆しており、ゲームをクリアしていない時点でのものになっている、ということついてもご留意いただけますと幸いです。
1.巨大なマップ、豊富なサイド要素
まず『ボーダーランズ4』で前作から大きく変化した点として、マップがほぼ完全なオープンワールド化したことが挙げられるでしょう。まだゲームの中盤あたりまでしかプレイしていないため最後までこの1マップで進行していくのかどうかはわかりませんが、現在のところ全てがひと繋がりのマップ上で進行し、時折バックグラウンドでロードしているようなカクつきはあるものの、快適に探索できています。巨大なマップも“スカスカ”ではなく、至る所に収集要素やオブジェクティブが散りばめられていて、序盤からボリュームたっぷりのリッチな作りが印象的です。
サイド・ミッションも非常に充実していて、一つ一つが丁寧に作り込まれており、それなりの長さがあります。筆者がプレイした範囲では、思わず笑ってしまうものから感情が揺さぶられるものまで、多種多様なストーリーが用意されており、報酬目当てで始めたにもかかわらず、気付けば物語に惹き込まれてしまうこともしばしばありました。
また、賞金首依頼などストーリー性のないサイド・ミッションも豊富なので、“遊び尽くす”には膨大な時間が必要になりそうです。『ボーダーランズ4』は定価9460円(税込)と決して安価ではないゲームなので、この圧倒的なボリューム感は嬉しい点です。
筆者は現時点でソロプレイをしていますが、難易度「簡単」を選んでも本作はなかなかの歯ごたえがあります。特にソロプレイでは敵のターゲットが分散しづらく、四方八方から強力な攻撃が飛んでくるため非常に「事故りやすい」作りです。そのため、メインストーリーをひたすら走り切る遊び方は、かなり熟練したプレイヤーであっても難しいでしょう。
ゲーム側としても、サイド要素をゆっくり回りながら自然にレベルを上げていくプレイスタイルを推奨しているように感じられます。「ゲームはやり込みが醍醐味」というハードコアゲーマーには嬉しい仕様ですが、「空いた時間に軽く遊びたい」というプレイヤーには少し厳しく、ある程度真剣に向き合う必要のある作品だと言えそうです。
2.向上したアクション性と、ゲーム全体の変化
他、前作から変化した点として、プレイヤーキャラクターにバックパックを使った滑空、ダブル・ジャンプとグラップリングを使った移動が追加され、移動の自由度が大幅に増加したという部分があります。単なるシューターよりもややアクションゲーム的な手触りが強くなり、一部のボス戦闘はかなりギミックに寄ったものになっています。ただ強力な武器を撃ちまくっていればゴリ押しで状況を打破できる、というようなゲーム性ではなく、初見のボス戦では「どうやったら倒せるのか」を考えながら戦うことになります。
そういうこともあって、今までのシリーズ作よりも全体的な難度が向上しているように感じられました。とはいえいわゆる”死にゲー”的な難しさはないのでその点は安心して大丈夫かと思います。いざとなれば前述のようにレベリングをしてから臨むこともできます。
プレビュー記事でも触れられた「崇拝者ソル」戦は、相手の弱点をうまいこと晒させないとダメージを通すことすら出来ない、という厳しい設計となっており、筆者は結構レベリングをしてから挑んだのですが、それでもかなりのピンチに陥りました。
なんとか初回で倒し切ることができましたが、復活手段が限られるソロプレイにおいて長めのボス戦がやり直しとなるとちょっと「萎える」感じもあるため(実際ソル戦ではない他のボスで5回ほどギリギリでやり直しになったときはかなり萎えそうになりました。その結果レベリングを入念に行うようになったのですが……)、好みが分かれるところではあると思います。ただマルチプレイだとこういうボス戦は楽しそうだな~とも感じるので、一長一短というところでしょう。
特に『ボーダーランズ4』ぐらいのボリューム感のゲームで戦闘が大味だと全体がだれてしまいがちになるとも思うので、ある程度ピリッとした難度のある戦闘が含まれることが必然かと思います。
移動ビークルをどこでも簡単に呼び出せたりなど、移動性の向上によって探索もかなり楽しくなっています。一部の収集物は新規アクションをうまく使うパズル的な作りになっているものもあってこのあたりも面白かったです。収集物はプレイヤースキンなど「一度集めれば終わり」なものが多いためパズルを何回もやらされたりすることはない、というのもうまい作りになっています。
プレイヤーキャラクターのアクション性の向上は、それに伴う戦闘難度の向上、探索のパズル性の向上などでゲーム性全体に影響を及ぼしているわけですが、総じてゲームをより楽しく、単調でないものにするために機能しており好印象でした。ゲーム後半部やエンドコンテンツでこの変化がどのように作用してくるかはわかりませんが、バランスは現状良く感じられます。
3欠点、ストーリーのまとめと総評
最後に筆者が本作を遊んでいていて感じた細かな欠点について纏めます。このあたりはDay1パッチや発売後パッチなどで改善されるかもしれないものも含まれますので、その点ご留意下さい。まずバックパックを操作し、武器を整理するときにソートを毎回設定しないといけない作りになっており、このあたりやや煩雑でした。
本作は大量の武器を拾うことになるためすぐバックパックがいっぱいになるので、値段でソートし後に売れるアイテムを優先的に残す、という方針で遊んでいたのですがバックパックを開くたびにソートのしなおしになったのが細かいストレスになりました。まあ、かなり些末な欠点で、すぐに直りそうとも思います。
本作はリッチなオープンワールドのゲームのため、かなり重く感じられた点もややマイナスです。もちろんこのあたりはハイエンドのゲーミングPCを所持しているプレイヤーにはほぼ関係がないでしょう。特にオープンワールドを高速で移動しているときにはちょくちょくフレームレートが顕著に落ちるタイミングがありました。戦闘は大まかに安定していたため、これも大きな欠点ではないと感じます。
ストーリーについては、現時点での印象ですが、「ボーダーランズ」シリーズ特有のハチャメチャなジョークはやや控えめになり、シリアスな雰囲気が少し強まっているように感じられます。『ボーダーランズ3』のクラップトラップは騒がしすぎてやや苦手だった筆者ですが、本作ではそのあたりが抑えられており、不快感が少ないです。
もちろんユーモアの要素も残っているため、この変化は個人的に好ましく感じており、バランスの良い仕上がりだと思います。もちろん、このあたりは未クリアなため最終評価としては言及できませんが、いまのところ面白く遊べています。
総評して、本作はかなり楽しい「ボーダーランズ」の続編となっており、アクション性の向上による難度の上昇と膨大とも言えるコンテンツ量で「ゲームをしっかりやり込みたいハードコアゲーマー」にはかなりおすすめできる作品になっていると感じます。
繰り返しになりますが、逆にストーリだけを追いたいようなプレイヤーにははっきりと向いていません(そういうプレイヤーが「ボーダーランズ」に興味を持つことはあまりないと思いますが、一応書いておきます)。欠点も減点するほど巨大なものかというと微妙で、減点式で採点すると今のところ10点満点となります。
とはいえ筆者はあくまでゲーム序盤~中盤をプレイ中であり、本来であれば点数をつける立場にないとは思いますが、今回は編集部都合でレビューの期間が限定されていた、かつ点数が必要とのことだったので、暫定的に無理矢理点数をつけています。正式な点数とはとても言えないでしょうから、あくまで参考程度にとどめておいてください。
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- オープンワールド化や探索性の向上など、やりごたえが増している