〈金曜ドラマ「イグナイト -法の無法者-」きょうスタート〉三山凌輝が大泉洋を「親父!」と呼んだ理由 出演者と家族のように打ち解ける人間力

信念をぶらさないことが大事だという。「自分というものをしっかり持っておかないと、役に振り回されてしまう」[撮影:蜷川実花/hair & make up 西村裕司(earch)/styling 八木啓紀/costume エトロ ジャパン] この記事の写真をすべて見る

 18日にスタートする金曜ドラマ「イグナイト -法の無法者-」(TBS系・金曜よる10時)。完全オリジナルの新リーガルドラマだ。向こう見ずな新米弁護士・宇崎凌(間宮祥太朗)の就職先は、轟(仲村トオル)が代表を務める怪しげな弁護士事務所。そこは原告になりそうな人の心に火をつけ訴訟を起こさせ、あらゆる手段で勝訴へと導く“法の当たり屋”と呼ばれる弁護士事務所だった。宇崎と行動を共にする秀才弁護士・高井戸役に三山凌輝が出演する。三山凌輝の過去のインタビュー記事を振り返る(この記事は「AERA dot.」に2025年2月17日に掲載されたものを再編集したものです。本文中の年齢、肩書等は当時のもの)。

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 昨年のNHK連続テレビ小説「虎に翼」への出演、そして公開中の主演映画「誰よりもつよく抱きしめて」で俳優としてもアーティストとしても躍進している三山凌輝さん。その道程に迫った。AERA 2025年2月17日号より。

――NHK連続テレビ小説「虎に翼」の特別編が放送された昨年末のNHK紅白歌合戦に、BE:FIRSTとしても3年連続で出場した。

三山凌輝(以下、三山):特別編の撮影日は三山凌輝博覧会の準備とBE:FIRSTのドームツアーのリハーサルのために名古屋に滞在している日でした。スケジュールの関係で参加できそうになく残念に思っていたのですが、「名古屋で撮影するんです」と言われて驚きました。それもあって撮影に参加することができたので縁がありますよね。地元の名古屋の撮影場所に行ったら、(伊藤)沙莉ちゃんをはじめ出演者のみんながいて変な感じでした(笑)。久々に会ったので積もる話をたくさんしました。

 初めての紅白の司会で緊張している沙莉ちゃんに放送中に「お姉ちゃん、リラックス!」と声を掛けられたのも良かったです。沙莉ちゃんは人間味があって改めて素敵な方だなと思いましたし、きょうだい役を演じたからこその雰囲気も出せたので完璧でしたよね(笑)。

 紅白に初出演させていただいた年は司会が大泉洋さんで、僕が尊敬していることを知った大泉さんがステージ上で「親父って呼んでいいよ」と言ってくれて、僕が「親父!」と呼び掛けるというやりとりがありました。「紅白では何か言わないとパフォーマンスに移れないんじゃないか」という謎のプレッシャーを感じています(笑)。紅白にも不思議なご縁を感じますね。

繊細で自然体な作品

――主演映画「誰よりもつよく抱きしめて」では強迫性障害による潔癖症を患い、すべてのものに直接触ることのできない水島良城を演じた。

三山:本作は恋愛映画とも言えますが、むしろヒューマンストーリーだと思っています。良城と月ちゃんという恋人同士の関係性を通して、誰しもが人間関係の中で感じる分かり合えなさやもどかしさを描いています。無理にドラマを作るわけではなく、繊細で自然体な作品です。

 良城はとても素直で本能に抗わない。傍から見たら余計なことをしてしまうのが人間の面白さでもあり可愛さでもあります。僕はネガティブな感情を持ったとしてもそこでもがいて、最終的にポジティブなものに変換するタイプです。そういう僕からしたら、良城と恋人の月ちゃんの互いに思い合っているのにすれ違ってしまっている状況は、とてももどかしく感じました。でも誰しもが心のすれ違いを経験することはあると思うので、少しでも何かの感情を受け取ってもらえたら嬉しいです。


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三山凌輝
2025/04/18/ 22:00
小松香里
AERA 2025年2月17日号より

――監督は「ミッドナイトスワン」で日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した内田英治だ。

三山:内田監督からは読み合わせの時に「作ってほしくないから自分が思った通りにセリフを言って」と言っていただきました。脚本を読んでイメージしていた良城と監督の良城のイメージが近かったので、すり合わせは早かったです。その頃、個人的にも色々考えるようなこともあって、読み合わせの時から自然と様々な感情が溢れてくるような状況でした。内田監督からは「良城はそれくらいのテンションでいいよ」と言われましたが、僕からしたらその状態はある意味つらかった。「もし僕が通常のテンションだったらどこまで落とすことが必要だったんだろう」と思いました(笑)。

直明と一体化していた

 もちろんどんな時期にどんな役を演じることになったとしても、プロとしてアウトプットしなければいけないのが前提です。自分をちゃんとコントロールして芝居ができることが一番。冷静に自分のことを分析してその時の自分と役に振れ幅がある場合、スイッチを切り替えた上で役を演じればそれはそれで何かしらの発見があるはず。毎回ちゃんと試行錯誤することでより多くのことを発見できると思っています。

(ライター・小松香里)

AERA 2025年2月17日号より抜粋

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