米上院、トランプ氏の関税政策に反対する決議案可決-カナダ関税巡り

Alicia Diaz

  • カナダへの関税を標的にした民主党の決議案、賛成51、反対48で可決
  • 共和党が多数派を握る上院がトランプ氏の政策に反対するのは珍しい

米共和党の上院議員はこれまで避けてきた行動を取らざるを得なくなった。トランプ大統領が仕掛ける貿易戦争について公式に立場を表明することだ。

  米上院は2日、トランプ氏による対カナダ関税に異を唱える民主党の決議案を、賛成51、反対48で可決した。民主党議員全員に加え、4人の共和党議員も賛成票を投じた。

  この決議案は、トランプ氏がカナダへの関税を課す根拠としてきた国家緊急事態を終わらせるもので、賛成に回ることは、トランプ氏の関税政策を巡り反対の意思表示を示すことになる。

  今回の決議案可決が、トランプ氏のやり方を変える公算は小さい。それでも共和党が多数派を握る上院が、トランプ氏の政策に反対するのは珍しい。

  これまでは、政府縮小・米経済立て直しに向けた多岐にわたる政策について、おおむね支持するか、少なくとも妨げない姿勢を示してきた。今回の動きは、トランプ氏の関税強化が長続きしない、もしくは農家などに対する影響緩和措置が取られるとの望みにつながるものだ。

  トランプ氏は、相互関税を発表した4月2日を米国にとっての「解放記念日」と位置づける一方、ここ数週間発動した特定の関税について恒久的なものにするとしている。 

  一方、スーン共和党上院院内総務は関税について、一時的なものにとどまるよう望む考えを示していた。スーン氏は3月31日、「カナダへの関税と最終的な目的について懸念がある」と記者団に発言。カナダは、同氏の選挙区であるサウスダコタ州にとって最大の輸出市場だ。

  カナダとメキシコは既に麻薬密売と不法移民に関連した25%の関税を課せられているが、これらは引き続き適用され、両国は個別の関税が有効である限り、新たな関税制度の対象とはならない。トランプ氏が政権1期目に取りまとめた「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の対象品目に対する免税措置は存続する。

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原題:US Senate Opposes Tariffs on Canada in Rare Split From Trump (1)(抜粋)

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