米自動車メーカーの株価下落、トランプ関税による打撃懸念

26日の米株式市場では自動車メーカーの株価が下落。トランプ次期大統領が中国やメキシコ、カナダへの関税を強化する方針を示したのを受け、業界全体でのコスト上昇が懸念されている。

  トランプ氏は25日、中国からの輸入品に10%の追加関税を課し、メキシコとカナダに対しても25%の関税を課すと表明。実際に導入されれば、自動車産業の世界的サプライチェーンを直撃することになる。調査会社グローバルデータによると、昨年メキシコから米国に輸入された自動車および小型トラックは約230万台に上る。

  米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)として知られる既存の貿易協定の下、トランプ氏の関税案がどのように実行されるかは不透明だが、自動車産業では主要モデルの生産コスト拡大につながる恐れがある。消費者にとっても、すでに高い自動車の価格がさらに上昇するリスクがある。

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  調査会社コックス・オートモーティブの業界インサイト担当ディレクター、ステファニー・バルデス・ストリーティー氏は「この1年を通じて常に話題となってきたのは値ごろ感だ」と指摘。「すでに自動車購入に苦労している消費者にとって、価格上昇につながるものは何であれ厳しいものになる」と語った。

  ゼネラル・モーターズ(GM)の株価は一時8%を超える下落となり、日中ベースでは2022年6月以来の大幅安となった。フォード・モーターステランティスも安い。

  GMとステランティスは、米国で販売するトラックの55%をメキシコとカナダから輸入。フォードは電気自動車(EV)の「マスタング・マッハE」やスポーツタイプ多目的車(SUV)「ブロンコ・スポーツ」などをメキシコから輸入している。

  メキシコのシェインバウム大統領は26日、メキシコ側も関税で対応する可能性を示唆。経済的に深刻な影響をもたらすことになると警告した。

  定例記者会見でシェインバウム氏は「関税が課されれば関税で対応することになり、それは企業をリスクにさらすまで続く」と指摘。「メキシコから米国に輸出している主要企業はゼネラル・モーターズ、ステランティス、フォード・モーターだ。そうした企業を危険にさらすような関税をなぜ導入するのか」と述べた。

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原題:GM, Ford Slide on Fears New Trump Tariffs Will Hit Industry Hard(抜粋)

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