ウクライナ和平協議、前線凍結し停戦後に開始を-ゼレンスキー氏

ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアとの和平交渉について、まずは現在の前線を凍結して戦闘を停止した上で開始すべきだとの考えを示した。

  「この戦争を終わらせる必要があることは理解している。戦争終結は今兵士たちがいる場所、つまり前線から始める必要がある」と米NBCとのインタビューで指摘。「この戦争を止め、すぐに外交的な形で和平交渉へ進みたいのであれば、我々は今の場所にとどまる必要がある。プーチンにこれ以上のものを渡してはならない」と語った。 

  インタビューは17日のトランプ大統領との首脳会談後に実施され、19日に放送された。

  米紙ワシントン・ポストは19日、政府高官の話として、ロシアのプーチン大統領が16日に行ったトランプ氏との電話会談で、戦争終結の条件としてドネツク州全域の割譲を要求したと報じた。

  この件について説明を聞いた関係者は、プーチン大統領がドネツク州の割譲を引き続き要求していることを確認した。

  ロシアは2014年に一方的に併合したクリミア半島に加え、ルハンスク、ヘルソン、ザポリージャ3州の大部分を占領している。ワシントン・ポストによると、プーチン氏はドネツク州全域と引き換えに、ザポリージャ州とへルソン州の一部について譲歩する用意があるとトランプ氏に示唆した。

  トランプ氏は19日に放映されたFOXニュースのインタビューで、プーチン氏が過去数年に得た領土を全て手放すことは期待できないとの見方を示した。

   プーチン氏は「彼は何かを取るだろう」とし、「彼らは戦い、一部を勝ち取った」などと語った。インタビューはプーチン氏との電話会談後、ゼレンスキー氏との会談前に収録された。

  一方、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は関係者の話として、トランプ氏が首脳会談の場で、ロシアが要求している停戦条件を受け入れるようゼレンスキー氏に強く促したと報じた。同意しなければ「ウクライナを破壊する」とプーチン氏が述べたと警告したという。

  17日にホワイトハウスで行われた会談では、何度も「激しい口論」になったと、FTは伝えている。

  トランプ大統領はゼレンスキー氏との首脳会談後、ロシアとウクライナに両国に対して「合意を結ぶ」よう促したが、ウクライナへの新たな軍事支援については明確な態度を示さなかった。トランプ氏は今後数週間以内にハンガリーの首都ブダペストでプーチン大統領と会談し、戦争終結に向けた道筋を協議する予定だ。

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  ゼレンスキー氏はNBCに対し、要請があればブダペストでの会合に出席する用意があるとし、「その件については話した」と述べた。

  一方で、プーチン氏が「真の交渉」に臨む意思があるかどうかについては懐疑的な見方を表明。「プーチンがこの戦争をただ終わらせる準備ができているとは思わない」と話した。

原題:Zelenskiy Wants Ukraine War to Be Frozen Before Peace Talks (1)(抜粋)

(トランプ氏の発言やFTの報道を追加して更新します)

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