日枝氏37年君臨のフジ 異例の統治構造、カメラ追い出した末の窮地

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田玉恵美

 注目された先週のフジテレビの記者会見で、ひとつの質疑が目にとまった。

 今回の件について日枝氏に相談しているか。そう聞いた記者に対して、港浩一社長(72)はこう答えた。

 「お答えは控えさせてください」

 社長や会長を歴任した日枝久氏(87)はいま、フジと親会社のフジ・メディア・ホールディングス(フジHD)両社で取締役相談役を務める。

 元トップとはいえ、もはや代表権を持つわけでもない人物だ。

 今どき大手企業の不祥事にかかわる会見で、こうしたやりとりが交わされるのは異例だろう。

 1988年に50歳で初めての生え抜き社長になって以来、日枝氏は37年にわたりフジに君臨してきた。フジHDを売上高5664億円のリーディングカンパニーに押し上げた立役者でもある。

 そしてその同社が今、タレントの中居正広氏が起こしたトラブルに端を発して、大きな逆風にさらされている。

 港社長の責任は重いし、今回の一連の判断に日枝氏が関わっているかは明らかではない。

 とはいえ、この顚末(てんまつ)はフジ特有の統治構造と無縁なのだろうか。

いまも影響力

 「事実上のトップに物申せる…

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