物議醸す新興メディア「ゼロヘッジ」、ホワイトハウスの代表記者団入り

世界の金融市場が歴史的な乱高下に見舞われる中、物議を醸す金融ニュースサイト「ゼロヘッジ」が10日、ホワイトハウスの代表記者団への参加を認められた。米情報当局は2022年、ゼロヘッジがロシアのプロパガンダを拡散していると非難していた。

  代表記者団は「プール」と呼ばれ、ホワイトハウスの大統領執務室や大統領専用機といった場所で大統領に取材できる。反体制派的なブログとして知られるゼロヘッジは、ペンネームで記事を発信しており、ソーシャルメディアX(旧ツイッター)では200万人余りのフォロワーを持つ。

  トランプ政権のコミュニケーション局が9日配布した報道スケジュールに関する電子メールによると、ゼロヘッジには「ニューメディア」を代表する報道機関向けに用意された枠が与えられた。ホワイトハウスのレビット報道官は1月、政権は「国内で最も閲覧数の多いニュースウェブサイトの一部であるにもかかわらず、これまでこの部屋に席を与えられていなかったニューメディア」に記者会見室を開放すると述べていた。

  ゼロヘッジのウェブサイトによると、同社は経済・政治の動向を追跡し、「金融ジャーナリズムが弱体組織と化している現状を懐疑的に検証し、必要に応じて攻撃する」ことを目的としている。

  ゼロヘッジは今週これまでに、トランプ大統領が関税政策を転換し、米国に報復措置を講じていない多数の国・地域への上乗せ関税を90日間停止する一方で、中国に対しては関税を145%に引き上げる決定に至ったことをフォローしている。著名投資家であるアーク・インベストメント・マネジメントのキャシー・ウッド最高経営責任者(CEO)が自身のXアカウントでこれに言及したことで注目が集まった。

As Zerohedge notes, this swap spread is suggesting serious liquidity issues in the US banking system. This crisis is calling out for some kind of Mar-a-Lago Accord on free trade, in tandem with serious support from the Fed? No more time to waste. https://t.co/5VXYqLJemJ

— Cathie Wood (@CathieDWood) April 9, 2025

  ホワイトハウスの報道官によると、プールに参加するニューメディアは、その日の関連ニュースや関心度、リーチ範囲などさまざまな要素に基づいて選定され、以前は除外されていた報道機関を選ぶこともあるという。

  09年に創設されたゼロヘッジの記事は、ウォール街で広く読まれている。映画「ファイト・クラブ」の登場人物「タイラー・ダーデン」をペンネームとする執筆者の記事が掲載されている。

  メタ・プラットフォームズは19年、フェイスブック上でゼロヘッジのコンテンツをブロックし、トランプ大統領の息子ドナルド・トランプ・ジュニア氏らから検閲を行っているとの批判を招いた。メタ側は後に、これはスパムフィルターの問題だったと説明した。アルファベット傘下のグーグルは20年にゼロヘッジを広告配信プラットフォームから排除したが、同サイトが扇動的なコンテンツを削除し、コメント欄のモデレーション(投稿監視)を導入したことを受けて、広告掲載を再び認めた。

  米情報当局は22年、ゼロヘッジがロシア政府の管理下にあるメディアの記事を掲載しており、それらはロシアの情報機関と関係している可能性があると主張。ゼロヘッジはこれを否定し、ロシアと協力したことはないと表明した。

原題:White House Welcomes Controversial Blog Zero Hedge to Press Pool(抜粋)

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