米中、関税停止の延長で合意 トランプ氏承認待ち 首脳会談の可能性は討議せず

米財務省報道官は29日、スウェーデンの首都ストックホルムで開催していた関税に関する閣僚協議が終了したと発表した。写真は同日、協議に向かうベセント財務長官(2025年 ロイター/TT News Agency/Fredrik Sandberg via REUTERS)

[ストックホルム 29日 ロイター] - 米中は29日、スウェーデンの首都ストックホルムで2日間にわたり開催していた関税に関する閣僚協議を終えた。中国の通商交渉官を務める李成剛氏は記者会見で、「突破口」は見いだせなかったものの、両国が5月中旬に合意した90日間の関税と輸出規制の一時停止措置を延長することで合意したと明らかにした。

ベセント米財務長官は会談後、両国の協議が「非常に建設的」だったとした上で、「まだ技術的な詳細を詰める必要がある」としたほか、今回の合意内容についてはトランプ大統領の承認が必要と語った。

グリア米通商代表部(USTR)代表も「建設的な協議が行われたことは確かだ。関税一時停止期間の延長については、トランプ大統領が決定する」とし、90日間の延長というのがトランプ大統領が承認できる選択肢の一つという認識を示した。

ベセント長官によると、米中両国は90日以内に再度会談を行う可能性があるほか、今回の協議ではトランプ大統領と習近平国家主席の会談の可能性については討議されなかった。

協議では米中の経済についても長時間議論され、グリア氏とベセント氏は中国が国家主導の製造業を中心とした輸出経済から消費者需要の増加を原動力とする経済へとシフトする必要性を強調した。

中国国営の新華社によると、協議の声明は「中国と米国の協力は双方に利益をもたらすが、対立すれば双方に損害を与える。中国と米国の安定的で健全かつ持続可能な経済・貿易関係は、それぞれの発展目標の達成に資するだけでなく、世界経済の発展と安定の促進にも資する」とした。

李氏は、米中双方が安定かつ健全な経済・貿易関係の維持が重要であることを十分に認識しているとし、今後もコミュニケーションを維持し、貿易・経済問題について「適時に意見交換」すると述べた。

トランプ大統領は記者団に対し、ベセント長官から「非常に良好な」会談だったと伝えられたと述べた。

また、トランプ氏がロシア産原油を購入している国の輸入品に対し100%の追加関税を課すと警告していることについて、ベセント氏は、中国がロシア産原油の購入を続ければ高関税に直面する可能性があることを中国側に伝えたと明らかにした。

ベセント氏は、制裁対象のロシア産原油を購入する国に最大500%の関税を課すことをトランプ大統領に認める米議会の法案が、米国の同盟国に同様の措置を取ることを促すだろうと述べ、ロシア産原油を購入する国はこれに備えるべきだと語った。

ベセント氏によると、中国当局者らは、中国はエネルギーを必要とする主権国家であり、石油購入は国内政策に基づくものだと反論したという。

ベセント氏は「中国は主権を非常に重視している。われわれは彼らの主権を阻害したくない。したがって彼らは100%の関税を払いたいのだろう」と語った。

同氏はまた、中国がロシアの兵器に使用されるような製品の売却を継続すれば、欧州との貿易関係強化に向けた中国の取り組みに悪影響を与えると警告したという。

中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の将来や台湾当局者の動向については議題に上らなかったという。

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Maria Martinez is a Reuters correspondent in Berlin covering German economics and the ministry of finance. Maria previously worked at Dow Jones Newswires in Barcelona covering European economics and at Bloomberg, Debtwire and the New York Stock Exchange in New York City. She graduated with a Master of International Affairs at Columbia University as a Fulbright scholar.

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