英首相、パレスチナ国家承認の意向表明 ガザ惨状巡りイスラエルの行動なければ
英国のスターマー首相は29日の閣議で、条件付きで9月の国連総会でパレスチナを国家として承認する意向を表明した。スコットランド・ターンベリーで28日撮影(2025年 ロイター/Evelyn Hockstein)
[ロンドン 29日 ロイター] - スターマー英首相は29日、飢餓が深刻化しているパレスチナ自治区ガザの状況についてイスラエルが対応しなければ、9月の国連総会でパレスチナを国家として承認する用意があると表明した。
スターマー首相は、イスラエルがガザへの一段の援助流入を認める実質的な措置を講じない限り、英国は行動を起こすと強調。イスラエルとパレスチナが平和的に共存する「2国家解決」を実現する長期的な和平プロセスに全力を尽くすと言明した。
スターマー氏は記者団に対し、援助の失敗によってガザで栄養失調に苦しみ衰弱した子どもらの姿に言及。「パレスチナの人々はひどい苦しみに耐えてきた。この苦しみを終わらせなければならない」と訴えた。
情報筋によると、スターマー首相は発表前、イスラエルのネタニヤフ首相と電話会談を行った。発表を受けネタニヤフ氏は、スターマー氏は「イスラム組織ハマスの極悪なテロリズムに報う一方で、その犠牲者を罰している」と非難。「イスラエルの国境沿いに『ジハード主義国家』が成立すれば、英国も将来的に脅かされることになる」と警告した。
フランスのマクロン大統領は24日、9月の国連総会でパレスチナ国家を承認する意向を表明し、他の国に同調を働きかける方針を示していた。
トランプ米大統領は、スコットランドで28日に行ったスターマー首相との会談では、英国がパレスチナを国家として承認する計画については協議しなかったと語った。また、パレスチナ国家承認は「ハマスに恩恵を与えることになる。ハマスは利益を受けるべきではない」と述べた。
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