僕らのiPhoneから最新機能が消える日(g.O.R.i)
「スマホ新法」ってご存知ですか?正式名称は「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」という、なんとも堅苦しい名前の法律です。本来は大手テック企業による市場独占を防いで、競争を促進するという目的で作られました。そして、Appleもその指定事業者として指定されているんです。
でも、この法律の影響で、僕たちのiPhoneから愛用している機能が消える日が来るかもしれません。それも、僕たちが求めたわけでもないのに。
最新機能が使えなくなる現実
実は、欧州では既に似たような法律(デジタル市場法、DMA)が施行されていて、そこで何が起きているかというと...Apple Intelligenceが使えないんです。あの、WWDCで発表されたワクワクするような最新AI機能が、欧州のiPhoneユーザーは体験できません。
さらに、iPhoneミラーリング機能も使えない。Macの画面にiPhoneを映して操作できる、あの便利な機能です。SharePlayの画面共有機能もダメ。こんな風に、僕たちが「当たり前」だと思っていた機能が、すでに欧州では法律のせいで次々と制限されているんです。
日本でも同じことが起きる可能性
そして恐ろしいことに、日本のスマホ新法は欧州のDMAをほぼそのままコピーしたような内容になっています。つまり、2025年12月に全面施行されると、日本でも同じような事態が起こる可能性が高いんです。
Appleが公正取引委員会に提出した26ページにも及ぶ意見書を読むと、その懸念がひしひしと伝わってきます。「このような解釈は、既に、欧州における新機能の導入の遅れなど、その他の意図しない結果をももたらしています」と、はっきりと警告しているんです。
WWDCで発表された新機能も危険
つまり、僕がこの前参加したWWDCで発表されたあの興奮する新機能たちも、日本では利用できない可能性があるということです。想像してみてください。アメリカや他の国では最新のiPhone機能を楽しんでいるのに、日本だけが取り残される。そんな状況が現実になるかもしれないんです。
誰のための法律なのか、本当の推進者は誰か
ここで疑問に思うのは、一体誰がこの法律を求めたのかということです。僕たち一般のiPhoneユーザーが「App Store以外からアプリをダウンロードしたい!」「Apple以外の決済システムを使いたい!」なんて声を上げましたか?
実際、Appleの調査によると、iPhoneユーザーの大多数はサイドローディング(App Store以外からのアプリインストール)を求めていません。それなのに、なぜこんな法律が作られたのでしょうか。
背景を調べてみると、この法律を強く推進しているのは主にアプリ開発事業者や業界団体です。7つのIT関連業界団体が共同声明を発表し、スマホ新法の成立を強く支持しました。また、5月にはGoogle、Qualcomm、Facebook、Garminが「オープンデジタルビジネスコンソーシアム」を設立しています。
”公正”取引委員会とは……?
セキュリティとプライバシーへの脅威、青少年保護も危険に
さらに深刻なのは、セキュリティとプライバシーへの影響です。Appleは意見書の中で、「サードパーティがユーザーのすべてのメッセージやEメールを閲覧し、ユーザーのすべての通話履歴を確認し、ユーザーが使用するすべてのアプリを追跡し、ユーザーのすべての写真を閲覧し、ファイルやカレンダーのイベントを確認し、ユーザーのすべてのパスワードを記録すること等を可能にするおそれがあります」と警告しています。
想像してみてください。あなたの個人情報が、Appleと同じレベルのプライバシー保護をしない企業に筒抜けになる可能性があるんです。
子どもを持つ親にとっても深刻な問題です。現在、App Reviewでは「ギャンブルやポルノのアプリ、そして暴力を助長するコンテンツなど、日本のユーザーの皆様を有害なコンテンツから保護しています」が、外部アプリストアではこの保護が効かなくなる可能性があります。
意味不明な状況
結局、何が起きているかというと、マジョリティのユーザーが求めていないスマホ新法が生まれたことによって、実際のユーザーが被害を被るという意味不明な状況なんです。
「競争促進」という美名のもとに、実際には僕たちユーザーが最新技術を享受する権利を奪われ、セキュリティやプライバシーのリスクにさらされる。こんなバカげた話があるでしょうか。
今からでも遅くない
スマホ新法の全面施行まで、まだ半年あります。この問題について、もっと多くの人が知り、声を上げる必要があります。僕たちユーザーの声が届けば、まだ軌道修正は可能かもしれません。
でも、このまま何もしなければ、日本のiPhoneユーザーは世界から取り残される可能性が高い。それって、本当に僕たちが望んだ未来でしょうか?
競争促進は大切です。でも、その代償として僕たちが慣れ親しんだ機能を失い、安全性を犠牲にするなんて、本末転倒もいいところです。この問題について、ぜひ一緒に考えてみませんか。