中国、米国船に14日から港湾使用料-クアルコムを競争法で調査

中国交通運輸省は10日、米国船舶が中国の港に寄港する際に特別料金を課す方針を発表した。米政府はこの数カ月、中国が海運・貿易分野で持つ支配力の弱体化を狙った措置を相次ぎ打ち出しており、両国の対立は大きくエスカレートしそうだ。

  発表によると、この措置は14日から実施され、米国船舶に対し、寄港時に1総トン当たり400元(約8600円)を徴収する。料金は年々引き上げられ、2028年4月までに1総トン当たり1120元に達する見通しだ。

  交通運輸省はこの措置について、中国で建造、所有される船舶に対し米国が14日から港湾使用料を課す計画であるため、その報復だと説明した。同省は声明で「米国の計画は、国際貿易の関連原則および米中海運協定に深刻に違反し、両国間の海上貿易に重大な損害をもたらした」としている。

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  また、中国の国家市場監督管理総局(SAMR)は10日、米半導体製造大手クアルコムによるイスラエルのオートトークス買収について、競争法上の調査に着手したと発表した。これを受けて、クアルコムの株価は米国時間10日早朝の時間外取引で一時4%下落した。

  中国は今週に入り、レアアース(希土類)など重要な原材料について輸出規制を強化する方針を表明。一方、米国産の大豆購入停止は継続し、昨年の米大統領選で多くがトランプ氏に投票した米国の農家に対する圧力を強めている。

  これに対し米国は、中国船への港湾使用料賦課のほか、米国に発着する中国航空便のロシア領空通過禁止が当局者の間でここ数日議論に上っていると報じられた。華為技術(ファーウェイ)などの企業に対して、米国の輸出規制対象製品へのアクセスを一段と防止する制裁も打ち出した。

  米中は月内に首脳会談を予定しているが、それを前に両国とも交渉材料を増やそうとしている様子だ。米国が一時145%にまで引き上げた高関税の一時停止措置は、延長されない限り11月10日に期限が切れる。

  このほか中国は、エヌビディア製の人工知能(AI)用半導体製品の輸入検査を強化していると報じられた一方、リチウムイオン電池および素材の輸出に新たな規制を導入した。

  キャピタル・エコノミクスで中国経済担当の責任者を務めるジュリアン・エバンスプリチャード氏はリポートで、「中国側の強硬なアプローチはややリスクが高く、たとえ最終的に成果が得られるとしても、米国との交渉は複雑になるだろう」との見解を示した。

  中国船に対する米国の港湾使用料賦課は4月に初めて公表され、中国の造船能力に長く依存してきた世界の海運業界に大きな衝撃を与えている。

  シティグループによると、多くの企業は米国側の新料金の影響を和らげる代替策を見つけているものの、中国の大手海運会社、中国遠洋海運集団(COSCO)は、米国市場での事業継続のため、数十億ドル規模の追加費用を負担する見通しだという。

原題:China to Slap Port Fees on American Vessels in Retaliatory Move(抜粋)

China Targets Qualcomm, US Ships as Xi and Trump Seek Leverage(抜粋)

— 取材協力 Alex Longley

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