イスラエルがシリア攻撃、少数派保護理由に 首都近郊で宗派対立拡大

 イスラエルは30日、シリアでイスラム教ドゥルーズ派のメンバーを攻撃した「過激派グループ」に対して攻撃を行ったと発表した。写真は4月、ダマスカス南東ジャラマナの検問所で撮影(2025年 ロイター)

[エルサレム/ダマスカス 30日 ロイター] - イスラエルは30日、シリアでイスラム教ドゥルーズ派のメンバーを攻撃した「過激派グループ」に対して攻撃を行ったと発表した。同国首都ダマスカス近郊では宗派対立が拡大しており、少数派の同派を守るという約束に従ったとしている。

一方、シリア外務省は声明で、イスラエルを名指しせずに、内政問題への「あらゆる形態の外国からの介入」を拒否すると宣言。ドゥルーズ派を含むシリアの全てのグループを保護するとのコミットメントを表明した。

イスラエルがシリアのドゥルーズ派支援で軍事攻撃を発表したのは、アサド政権崩壊以来初めて。同政権に取って代わったイスラム教スンニ派に対する深い不信を反映しており、シリアを統制しようとするシャラア暫定大統領の取り組みを一層困難にするものだ。

シリア内務省筋がロイターに語ったところによると、イスラエルによるドローン(無人機)攻撃は政府治安部隊を狙ったもので、ダマスカス郊外の主にドゥルーズ派が住む町サハナヤで隊員1人が死亡した。

ドゥルーズ派はシリアのほか、レバノン、イスラエルに信者がいる。

イスラエルのネタニヤフ首相とカッツ国防相は声明で、サハナヤのドゥルーズ派への攻撃を継続する態勢を整えていたとして、イスラエル軍が「警告作戦を実施し、過激派グループを攻撃した」と説明。「それと同時に、イスラエルはシリアの体制に対し、ドゥルーズ派への危害を防ぐために行動することを期待するとのメッセージを伝えた」と付け加えた。

宗派対立に伴う暴力は、4月29日にドゥルーズ派が多数を占めるジャラマナ地区でのスンニ派との衝突から始まった。預言者ムハンマドを罵倒する録音をドゥルーズ派が行ったとスンニ派武装勢力が疑ったことが発端となった。同日に十数人が死亡したと報じられ、30日にはサハナヤに暴力が拡大していた。

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