トランプ大統領、貿易の条件は自分が決める-関税協定は必要ない

トランプ米大統領は6日、関税引き上げを回避したい貿易相手国・地域に対し、関税水準を決めるのは自分だと述べた。度重なる交渉に従事するというアプローチから距離を置く姿勢を示した。

  「われわれは非常に公正な数字を提示し、これが米国の望むものだと示すつもりだ。それでめでたく合意成立となる。相手国は『素晴らしい』と言って買い物を始めるか、もしくは『良くない』と言うだろう」とトランプ氏はカナダのカーニー首相とのホワイトハウスでの会談で発言した。

  「非常に公正な数字になるだろうし、低い数字になるだろう。われわれは各国を傷つけるつもりはない」と付け加えた。

カナダのカーニー首相(左)と会談するトランプ米大統領

  トランプ氏はカーニー氏との関係について、トルドー前首相よりも友好的なものになるとの考えを示唆した。

  しかしカーニー氏が合意を成立させられるかどうかについて、トランプ氏は懐疑的な見解を表明。カナダへの関税を撤廃するようカーニー氏が自分を説得できるかとの質問に対し、トランプ氏は「ノー」と答えた。

  「われわれがカナダに補助金を出す理由はない」とトランプ氏は言明。「カナダは経済的に自立できる国でなければならない」と続けた。

  トランプ氏の発言を受け、カナダ・ドルは一時1米ドル=1.375カナダ・ドルと昨年10月以来の高値を付けたが、その後上げ幅を縮小。ニューヨーク時間6日午後遅くには1.377カナダ・ドルで取引された。

  トランプ氏は、各国が上乗せ関税を回避しようと米政権と交渉を急ぐ中でこうした発言を行った。同氏は4日、早ければ週内に最初の合意が成立する可能性があると述べたが、今回の発言は引き続き方針を変更する可能性があることを示唆しており、不確かな米貿易政策で動揺する市場にさらなる混乱をもたらす恐れがある。

  トランプ氏は、いつ合意がまとまるかとの質問には聞き飽きたとも語った。

  「合意に署名する必要はない。われわれが望めば、今すぐにでも25の合意に署名することが可能だ」とトランプ氏は発言。「幾つかの合意には署名するつもりだ。それよりもはるかに重要なのは、人々が米国で買い物をするために支払わなければならない価格を引き下げるということだ」と話した。

  トランプ氏はまた、既に一部の国が譲歩に同意しており、インドは米国産品への関税撤回で合意したと語った。

  カーニー氏はトランプ氏について、「米国の労働者を最優先に考え、経済に注力する変革型の大統領だ」と称賛。防衛や安全保障、北極圏の安全保障・開発で米国との協力に意欲を示した。

  一方で、カナダは米国の51番目の州になるべきだとするトランプ氏の考えには反対を表明し、「カナダは売り物ではなく、今後もあり得ない」と明言した。

  これに対してトランプ氏は「カナダが米国に加わることには利点がある」としながらも、カーニー氏の立場が交渉に悪影響を及ぼすことはないと発言。「私の考えは変わりないが、タンゴは1人では踊れない」と述べた。

原題:Trump Downplays Trade Negotiations, Says He’ll Dictate Terms (2)Trump Downplays Trade Negotiations, Says He’ll Dictate Terms(抜粋)

(トランプ氏やカーニー氏の発言などを追加して更新します)

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