太陽光ケーブル盗・万引き 外国人トクリュウの資金源に

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警察庁がまとめた2024年の犯罪情勢で、窃盗犯の認知件数は50万1507件となり5年ぶりに50万件を上回った。外国人グループによる太陽光ケーブルの窃盗やドラッグストアでの万引きが目立っている。組織の資金源としている疑いがあり、警察は流通網への規制や摘発の強化を急いでいる。

24年の刑法犯の認知件数は73万7679件となり3年連続で増え、うち68%を窃盗犯が占めた。前年比6%増の自転車盗(17万4020件)と同5.5%増の万引き(9万8292件)が押し上げた。

各地で外国人の窃盗集団が暗躍している。SNSを通じて離合集散する「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」と同様に、SNS上で実行役を集めているとみられる。標的とされているのが太陽光発電施設やドラッグストアだ。

太陽光発電施設の銅線を切断し盗む事件が多発しており、銅線を含む金属盗は24年に前年比27.2%増の2万701件発生した。再生可能エネルギーの需要が高まる一方、銅線の窃盗が太陽光発電事業上の深刻なリスクとして浮上している。

ドラッグストアでは外国人グループが大量の化粧品や医薬品を盗み、海外で流通させる手口が確認された。ドラッグストアで発生した万引き被害は1万5161件に上り、統計を取り始めた04年以降で最多だった。

21〜23年の被害分析によると、訪日外国人が関与したドラッグストアの万引き事件の被害額は1件あたり8万8531円で、日本人の事件(1万774円)の8倍超だった。

金属盗や万引きは外国人トクリュウの資金源になっているとみられる。警察庁は「治安上の大きな課題」として警戒する。

金属盗を巡っては、盗品を買い取る一部の悪質な業者が犯行を助長させている面がある。警視庁などは流通を食い止めるため今年2月にかけ、盗品を買い取った疑いがある群馬県などの業者を家宅捜索した。

警察庁の有識者検討会は1月にまとめた報告書で、銅を買い取る業者を届け出制としたうえ、取引相手の本人確認を義務付けるといった対策を求めた。警察庁は提言を踏まえ、新法の制定を含めた法整備を検討している。

ドラッグストアの被害防止に向けては、警察庁が防犯対策の指針を作成し業界団体の日本チェーンドラッグストア協会(東京・千代田)に示した。各都道府県警察には各ドラッグストア事業者と連携した抑止策を講じるよう求めた。

万引きグループの取り締まりで警視庁などは24年、ベトナム人グループの実行役らを摘発し、盗品を集めていた集積所などを家宅捜索した。国外から指示を出している首謀者がいるとみて組織の実態解明を進める。

警察庁が24年10月に5000人を対象に実施した調査で、ここ10年で日本の治安が「悪くなった」「どちらかといえば悪くなった」とした回答は76.6%を占めた。23年(71.8%)からは4.8ポイント、22年(67.1%)からは9.5ポイント上昇した。

この設問は21年から始まり、今回で4回目。治安が悪化していると感じている市民は増加傾向にある。

要因として思い浮かべた犯罪を複数回答で尋ねると「オレオレ詐欺や投資詐欺、ロマンス詐欺、フィッシング詐欺などの詐欺」(69.0%)や「不正アクセスなどによる個人情報の流出」(58.3%)、「空き巣など住宅への泥棒」(57.5%)といった回答が多かった。

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