NY市場サマリー(10日)FOMC通過で株上昇 利上げ観測後退でドル・金利低下

<為替> 米連邦準備理事会(FRB)が市場の予想通り利下げを決定したことを受け、ドルがユーロや円など主要通貨に対して下落した。

はこの日までの2日間の日程で開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%ポイントの利下げを決定。利下げはとに続き3会合連続だった。ただ、インフレは依然としてやや高止まりしているとし、労働市場と物価情勢を見極めるため利下げを一時停止する可能性を示唆。FOMCにあわせて公表された参加者の(ドットチャート)では、2026年にと27年にそれぞれ1回の0.25%ポイントの利下げが行われるとの見通しが示された。

パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で「新たな金利・経済見通しに基づくと、次の動きが利上げになる可能性は低い」とし、「利上げが誰にとっても基本シナリオだとは思わない」と言及。ドルに対する一段の重しになった。

メシロウ・カレンシー・マネジメント(シカゴ)のシニア投資ストラテジスト、ウト・シノハラ氏は「市場では今回の利下げは完全に織り込まれていたが、FOMCの結果発表後にドル相場が乱高下したことで、市場の動意になる経済指標の欠落などが浮き彫りになった」と指摘。「パウエル議長は今後の景気動向を見極めていく体制は整っていると述べたものの、労働市場を巡る懸念の高まりや関税に関連するインフレ動向がドル相場の重しになった」と述べた。

終盤の取引でドル/円JPY=, opens new tabは0.6%安の155.92円。ユーロ/ドルEUR=, opens new tabは0.6%高の1.1691ドル。主要通貨に対するドル指数=USD, opens new tabは0.6%安の98.66。

NY外為市場:

<債券> 国債利回りが低下した。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が会見で「新たな金利・経済見通しに基づくと、次の動きが利上げになる可能性は低い」とし、「利上げが誰にとっても基本シナリオだとは思わない」と語った。 FRBは9─10日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0.25%ポイント引き下げ、3.50─3.75%とすると決定した。 利下げ決定には3人の反対票があったため、利回りは発表後に不安定な動きを見せたが、その後、パウエルFRB議長の発言を受けて低下に転じた。 アンヘレス・インベストメンツの最高投資責任者、マイケル・ローゼン氏は「声明では、25ベーシスポイント(bp)の利下げの主な根拠として労働市場の弱さが強調されており、市場はこの詳細を捉え、FRBが金融緩和を継続する可能性を見込んでいる。26年には25bpの利下げが1回との見通しに変化はない」と述べた。 多くの中央銀行が緩和サイクルの終了、あるいは終了に近づいていることを示唆する中、世界的に金利はここ数週間上昇している。 指標となる米10年債利回りは、一時3カ月ぶりの高水準である4.209%を付けたが、終盤では4.3bp低下し4.143%となった。 30年債利回りは2.1bp低下し、4.788%となった。 2年債と10年債の利回り格差は60.1bpとなった。一時9月3日以来の高水準となる60.7bpに上昇した。 2年債利回りは7.3bp低下して3.54%となった。

米金融・債券市場:

<株式> 米国株式市場は上昇して取引を終えた。連邦準備理事会(FRB)が連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を0.25%ポイント引き下げ、堅調な景気見通しを示したことが背景。

FRBは次回の政策変更の前に、雇用市場の方向性と「やや高止まりしている」インフレについて、より明確なシグナルを見極めたいとした。

ただ、FOMCにあわせて公表された参加者の政策金利見通し(ドットチャート)によると、2026年に0.25%ポイントの利下げが1回行われる見通しで、9月のFOMCで公表された前回のドットチャートから変化はなかった。

26年の経済成長率はトレンドを上回る2.3%に加速し、失業率は4.4%と緩やかな水準にとどまるとの予想が示された。

この経済見通しと、過度にタカ派的な姿勢が示されなかったことが市場を支援した。

エドワード・ジョーンズの投資戦略責任者、モナ・マハジャン氏は「FRBが利下げを行い、経済が差し迫った悪化やリセッション(景気後退)に向かっていない場合、市場はそのような背景を好む傾向がある」と語った。

S&P総合500種(.SPX), opens new tabの主要11業種では工業(.SLRCI), opens new tabの上昇率が最大だった。人工知能(AI)関連インフラへの旺盛な需要を見込んで来年の売上高について強気な見通しを示したエネルギー機器メーカーのGEベルノバ(GEV.N), opens new tabが買われ、同セクターを押し上げた。

ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を2.86対1の比率で上回った。ナスダックでも1.93対1で値上がり銘柄が多かった。

米取引所の合算出来高は169億1000万株。直近20営業日の平均は174億1000万株。

米国株式市場:

<金先物>ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策決定を前に利食い売りが台頭し、反落した。

米連邦公開市場委員会(FOMC)協議の結果待ちで様子見ムードが強く、相場は小安い水準でのもみ合いに終始。一方、米労働省が朝方発表した2025年7─9月期の雇用コスト指数(ECI)で賃金コストの抑制が示唆されたとして、米長期金利は低下したものの、利子を生まない資産である金を物色する動きは限定的だった。

NY貴金属:

<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、米原油在庫週報の発表を受けた売りが先行したものの、あと買い戻され、3営業日ぶりに反発した。

米国産標準油種WTI2月物は0.22ドル高の58.30だった。

米エネルギー情報局(EIA)が午前に公表した週報(5日までの1週間)によると、米原油在庫、ガソリン在庫はいずれも予想を上回る積み増し。石油製品の大幅積み増しを嫌気して売りが台頭したが、あと安値拾いの買いにプラス圏に切り返した。

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は会見で、当面は金利据え置くことを示唆した。ただ、金利引き下げが経済成長やエネルギー需要拡大につながるとの期待も根強く、政策決定発表後も相場は堅調に推移した。

NYMEXエネルギー:

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