立花孝志氏、百条委の奥谷県議を訴えた裁判で「請求放棄」…突然の訴訟終了に被告代理人は怒りあらわ「敵前逃亡」

昨年11月にあった兵庫県知事選挙をめぐって、政治団体「NHKから国民を守る党」の党首、立花孝志氏が、兵庫県議会議員の奥谷謙一氏から名誉を毀損されたとして損害賠償を求めた訴訟の第一回口頭弁論が4月15日、東京地裁であった。

武部知子裁判長は冒頭、4月15日付で立花氏から請求放棄書が提出されたとし、「訴訟は終了となります」と述べた。

立花氏は法廷に姿を見せず、奥谷氏の代理人弁護士は「事実認定されることを避けたのだろうが、本当に許せない」と怒りをあらわにした。

●奥谷氏が立花氏を刑事告訴も

兵庫県では、パワハラなどの疑いを持たれた斎藤元彦知事について調査する百条委員会が県議会に設けられ、奥谷氏はこの委員長をつとめていた。

立花氏は、兵庫県知事選挙の期間中、奥谷氏の自宅兼事務所の前で演説するなどしており、報道によると、奥谷氏はこうした行為が脅迫や威力業務妨害にあたるとして県警に被害届を提出したとされる。

また奥谷氏は、立花氏が奥谷氏に関する虚偽の内容をSNSに投稿するなどして名誉を毀損されたとして刑事告訴もしている。

これに対して立花氏は、自身の行為を奥谷氏が脅迫などと訴えていることについて、名誉を毀損されたとして、2024年11月に損害賠償を求めて東京地裁に提訴していた。

東京地裁(弁護士ドットコムニュース撮影)

●代理人「自分から提訴して敵前逃亡する」と批判

この日は第一回口頭弁論が開かれる予定だったが、立花氏から「原告の請求の全部を放棄する」との請求放棄書が提出され、武部裁判長が訴訟の終了を告げた。

その後、奥谷氏の代理人をつとめる石森雄一郎弁護士が、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開き、「立花氏は裁判で事実認定されることを避けたのだろうが、非常に不誠実な態度だ」と述べた。

石森弁護士によると、立花氏は今年3月に訴えの取り下げを求めてきたが、奥谷氏側は判決をもらうために同意しなかったことから、この日の期日が設定されていた。

奥谷氏側はこれまで、立花氏の主張に根拠がないことを裏付ける証拠とともに奥谷氏の行為が名誉毀損にあたらないことを答弁書などで立証してきたという。

そうした経緯を説明した上で、石森弁護士は次のように話した。

「立花氏は反論できないと思ったのではないでしょうか。あれだけ裁判の場で争うと言いながら、いざ自分から訴訟を起こして敵前逃亡する。

奥谷さんは事実の隠蔽などしていません。請求を放棄したことで、立花氏は今後、同じ内容で請求をかけてくることはできなくなります」

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