欧州展開の製薬大手30社超、EUに医薬品開発促進策を要求

 4月15日、フランスの経済紙レゼコーは、欧州に展開している大手製薬会社30社超が欧州連合(EU)欧州委員会のフォンデアライエン委員長に対し、EUでの事業基盤を維持できるように医薬品の開発促進策などを要求する書簡を送った。写真は、使用済みの薬のパッケージ。2018年6月、ロンドンで撮影(2025年 ロイター/Russell Boyce)

[パリ 15日 ロイター] - フランスの経済紙レゼコーは15日、欧州に展開している大手製薬会社30社超が欧州連合(EU)欧州委員会のフォンデアライエン委員長に対し、EUでの事業基盤を維持できるように医薬品の開発促進策などを要求する書簡を送った。トランプ米大統領が輸入医薬品に関税を近く導入すると表明し、経営環境が厳しくなっていることを理由に挙げた。

30社超には米ファイザー(PFE.N), opens new tab、イーライ・リリー(LLY.N), opens new tab、英アストラゼネカ(AZN.L), opens new tabが含まれる。レゼコーによると、米国での医薬品の平均価格はフランスなど一部の欧州諸国の2倍で、欧州ではコスト面で不利な状況に直面していると書簡に記した。

また、製薬会社がEUで医薬品を開発する場合にはそれぞれの国で臨床試験を実施しなければならなくなっていると問題視し、EUに規制を簡素化するよう要請した。排水に含まれる微量の汚染物質を取り除くために製薬業界が近く支払いを迫られる料金についても異議を唱えた。

レゼコーによると、30社超はこの10年間にわたって「革新的な医薬品に関連する費用の増加は、革新的な(製薬)業界が全額負担してきた」とし、「私たちは欧州の患者と経済の発展のため、これらの提案が現実のものとなるように今後数週間に共に取り組んでいきたい」と書簡につづった。

欧州の製薬会社はフォンデアライエン氏との先週の会合で、米国が課す関税は業界の欧州から米国への移行を加速させると警告した。

EU統計局によると、EUから米国への医療機器と医薬品の輸出総額は2023年に約900億ユーロ(1014億9000万ドル)に達した。

欧州製薬大手は最近、米国の生産拠点を拡大している。

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