患者160人以上を性的虐待か、米オレゴン州の医師を起訴 いったん不起訴も被害者の訴え実る
左からリサ・プラットさん、ニコール・スノーさん、ケイティ・メドレーさん。3人の女性はいずれも、かかりつけ医だったデービッド・ファーリー被告から虐待を受けたと訴えている/CNN
(CNN) 米オレゴン州で10日、160人を超える患者から虐待の訴えを受けている元かかりつけ医が出頭し、性的虐待の罪について罪状認否を行った。無罪を主張している。
デービッド・ファーリー被告(67)はこの日の早朝、クラカマス郡の拘置所に出頭した。郡の大陪審は女性患者3人に対する11年に及ぶ性的虐待の罪9件と、関連する罪2件で被告を起訴。いずれも重罪に当たる。患者のうち1人は14歳以下だった。
ファーリー被告は午後、映像を通じて罪状認否に臨み、すべての罪状について無罪を主張した。法廷の傍聴席には大勢が詰めかけ、短い手続きの間、静かに涙を流す人もいた。判事は公判期日を12月6日に設定した。
ファーリー被告を巡っては、多数の女性や少女から医療行為を装った性的虐待を受けたと告発する声が上がっており、この瞬間は長年の闘いの節目になった。被害者の一部はもう5年以上、当局に容疑者を法の裁きにかけるよう訴えてきた。
「体中を駆け巡った安堵(あんど)感は言葉ではとても言い表せません」。元患者の一人はCNNの取材に匿名でそう語った。「これまで法執行機関が失敗を繰り返してきた今となっては、ようやく何か対応が取られていると分かっただけで、心が安らぎます」
ファーリー被告が最初に捜査対象になったのは2020年、患者たちが州の医療委員会や地元警察に被害を申し立てたのがきっかけだ。
告発内容は多岐にわたり、未成年患者への過剰な乳房や骨盤の検査から、手袋を着けずに行う骨盤検査、さらには教育目的と称して未成年のヌード写真を撮影する行為まで様々だった。患者たちは性的虐待に加え、「ハイメネクトミー(処女膜切除)」など医療上不要で痛みを伴う処置も受けたと証言した。
ファーリー被告は弁護士を通じ、こうした告発に関するコメントを一切拒否する意向を示している。
CNNは昨年、ファーリー被告に対する告発について報道。数人の元患者に取材し、彼女たちが経験したと語る虐待や責任追及の取り組みについて話を聞いた。
被害女性の多くは、教会を通じてファーリー被告と知り合った。女性たちはオレゴン州ウェストリンに住む末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教)の信徒で、ファーリー被告は親密なモルモン教徒のコミュニティーを束ねる指導者と見られていたという。ファーリー被告は信徒たちの間で尊敬を集める年長者としての地位を利用して、女性たちにつけ込んだと、被害者は口をそろえる。
「まったく気づきませんでした」。ファーリー被告の元患者の一人、ニコール・スノーさんは昨年CNNにそう振り返った。「これが普通だと思っていました」。スノーさんは虐待が原因で健康問題を抱えることになり、高校中退を余儀なくされた。