伝達ミス?の右SB起用も1対1守備で魅せた大宮“チーム得点王”FW藤井一志「めちゃくちゃ気持ち良かった」国立の思い出は3年前のブラジル戦観戦
[5.6 J2第14節 千葉 1-2 大宮 国立]
2-1で迎えた試合終了間際、RB大宮アルディージャの今季チーム得点王の献身的な守備が国立競技場を大いに沸かせた。試合後、FW藤井一志は「どこから来る自信かわからないけど、1対1で来たら止められる自信があった。最後に止めたのはめちゃくちゃ気持ち良かった」と喜びを口にした。
藤井は今季、開幕3戦4ゴールの活躍を含めた通算5ゴールでチーム最多得点を記録しているが、最近の試合は途中出場での出番が中心。この日は後半21分から前線で途中出場し、3枚替えが行われた同39分からは4-4-2の右サイドバックに回っていた。東海大高輪台高の1〜2年時にはSB経験を持ち、東海大1年時にはウイングバックで大学日本一も経験していた藤井だが、プロではストライカー起用が中心。それでも「プロでは初めてああいう状況でSBをやったけど楽しかった」との言葉どおり、相手のドリブラーに対して果敢な姿勢を見せると、後半アディショナルタイム8分にはDF日高大とMF横山暁之の突破を立て続けに止める大仕事を成し遂げた。
日高を止めた後には、ド派手なガッツポーズも見せ、駆け寄ってきたDF市原吏音と胸をぶつけ合う「チェストバンプ」で互いに鼓舞していた藤井。「あの満員の中で1対1を止めて沸いた時は気づいたら吏音と胸でああやってましたね」。感情の高まりから自然と溢れ出たパフォーマンスだったようだ。
そうして国立での勝利に貢献した藤井だが、実はこの右SBシフトは、長澤徹監督の指示がうまくピッチ内に伝わらなかったことによる配置転換だったという。本来は後半39分に投入されたMF石川俊輝が右SBに回るはずだったが、そこに“伝達ミス”があったようだ。5万人近い観衆が集まった国立開催特有とも言えるトラブルにも藤井は「結果的にチームを助けられたんじゃないかなと思う」と胸を張った。 ちなみに藤井にとって、国立のピッチに立つのはこれが初めてだった。最も大きな国立にまつわる思い出は東海大3年時の22年6月に日本代表対ブラジル戦を観戦したこと。ピッチで戦う代表選手たちに知り合いがいたというわけではなく、純粋に「普通に一般のサポーターとして、自分でチケットを取って行きました」といい、「いつかはここに立ちたい」と憧れを持って見ていたようだ。 この日はその思いを叶え、5万人の観衆を前にプレーしていた。最後は「これまではスタンドで国立を見る身だったし、いつかこのピッチに立ちたいなという思いの中でサッカー選手としてのキャリアを歩んできたので、こういった素晴らしい環境を作ってくださった千葉の運営の方々、ファン・サポーターの皆さんにも感謝したい」と感慨と感謝を口にした。 (取材・文 竹内達也)●2025シーズンJリーグ特集▶お笑いコンビ・ヤーレンズのサッカー番組がポッドキャストで配信中