トランプ政権、ウクライナへの兵器供与停止-ロシアの大規模攻撃下で
- 米国の弾薬備蓄見直しを受け過度な備蓄減少を懸念-ポリティコ
- 停止対象は155ミリ砲弾や地対空ミサイル「スティンガー」など
トランプ米政権は、ウクライナへの砲弾や防空システムの供与を停止する方針を示した。ロシアによるミサイルやドローン(無人機)攻撃が激化する中、ウクライナが切実に求める兵器の提供が見送られる。
今回の停止措置を巡っては、米政治ニュースサイトのポリティコが先に報じており、ホワイトハウスが報道内容を認めた。ポリティコによると、今回の決定は米国の弾薬備蓄の見直しを経たもので、備蓄が過度に減少しているとの懸念が背景にあるという。
米報道番組「PBSニュースアワー」によると、供与停止の対象には、155ミリ砲弾、 地対空ミサイル「スティンガー」、地上配備型迎撃ミサイルシステム「パトリオット」、空対地ミサイル「ヘルファイア」が含まれる。
ホワイトハウスのアンナ・ケリー報道官は、電子メールでの声明で報道を認めた上で、「今回の決定は、世界各国への軍事支援を巡る国防総省の見直しを受け、米国の利益を最優先するために下されたものだ」と述べた。
ロシアによる大規模攻撃はウクライナ全土で続いている。ウクライナは29日、ロシアが「大規模」攻撃でミサイル60発と無人機477機を使用したと発表。一晩での飛来数としてこれまでで最多という。
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ロシアはここ数週間で攻撃を激化させており、プーチン大統領は和平交渉のための停戦を求める米欧の呼びかけに応じていない。
ポリティコによれば、停止措置を主導したのは国防次官(政策担当)のエルブリッジ・コルビー氏だという。コルビー氏は、米国が海外で軍事的に過度に関与していると長らく主張。欧州の安全保障、特にウクライナ防衛については欧州の同盟国がより大きな責任を負うべきだとの考えを、ヘグセス国防長官とともに繰り返し述べている。
コルビー氏は声明で、国防総省は「この悲劇的な戦争を終結させるという大統領の目標に沿い、ウクライナへの軍事支援継続に向けた強力な選択肢を提供し続ける」と指摘。「同時に、国防総省はこの目標の達成に向けた方針を厳密に検証・適応させつつ、政権の防衛優先事項に対する米軍の即応体制を維持する」とも語った。
原題:US Halts Key Ukraine Weapons Deliveries Amid Russian Barrage (1)(抜粋)