みずほFG社長、金利復活下での預金獲得で重要役割-楽天カード出資
- 楽天経済圏とつながった提携カードの活用で粘着性の高い預金獲得へ
- トランプ氏就任で米M&A活発化、買収した投資銀との相乗効果期待
みずほフィナンシャルグループの木原正裕社長は、楽天グループ傘下のカード会社への出資や楽天Gとの協業深化が、預金の獲得にも重要な役割を果たすとの認識を示した。
日本銀行が3月、17年ぶりの利上げを実施してマイナス金利政策を解除したことで、金利のある世界が到来。銀行にとって貸し出しによる金利収入が期待できることから、原資となる預金集めが課題となる。個人向けでは、一定額が中長期にわたり銀行にとどまる粘着性の高い預金をどう増やすか各行が競っている。
木原氏はブルームバーグのインタビューで、粘着性の高い預金を増やす重要な要素は「決済と給与振り込みだ」と説明。クレジットカードの引き落としに使われる口座や勤め先からの給与振り込み対象となる口座の増加が鍵になると指摘した。粘着性の高い預金が増えることで「他の取引も行っていただける可能性もある」との期待も示した。
みずほFGは11月、1650億円を投じて楽天カードに14.99%出資すると発表。引き落とし口座にみずほ銀行を指定した「みずほ楽天カード」の提供を12月3日から始めた。楽天ポイントがたまりやすいといったサービスに乗り出したほか、法人カードでも協業を検討している。「楽天経済圏とつながったカードで利便性・利得性を上げていき、結果としてみずほ銀で粘着性の高い銀行口座が増えていく」と語った。
みずほFGは傘下証券を通じて楽天証券に49%出資しており、楽天Gとの協業を広げている。
米発のM&A活発に
米国では来年1月にトランプ次期大統領が就任する。木原氏は「基本的に米国でのビジネスに非常にサポーティブだ」と述べ、米国発のM&A(企業の合併・買収)が活発になるとの見方を示した。一方、トランプ氏のスローガンである「MAGA(米国を再び偉大に)」に触れ、日本企業が米企業を買収するようなケースでは、同様の楽観論が通用しないとも指摘した。
M&Aを巡っては、助言業務に強みを持つ米投資銀行のグリーンヒルを1年前に買収している。米企業とアジア企業、米企業と豪州企業といったM&A案件のチャンスは多くあるとして「当初想定していた相乗効果をしっかり生み出すことが重要だ」と述べた。