両陛下が硫黄島で拝礼 供花や献水、戦没者に祈り
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天皇、皇后両陛下は7日、先の大戦で激戦地となった東京・小笠原諸島の硫黄島を訪れ、3カ所で拝礼された。両陛下は、花を供えたり碑に水をかけたりして、戦没者に祈りをささげられた。
同島を天皇、皇后が訪問するのは、上皇ご夫妻が在位中の1994年に訪れられて以来31年ぶりとなる。両陛下が足を運ばれるのは初めて。
両陛下はこの日午後、羽田発の政府専用機で海上自衛隊の硫黄島航空基地に到着された。同基地では、硫黄島の戦いなど島の概要についての説明を小池百合子・東京都知事や渋谷正昭・小笠原村長から受けられた。
その後、両陛下は硫黄島戦没者の碑(天山慰霊碑)に移動し、供花と献水をされた。同慰霊碑は71年に国が設立し、上皇ご夫妻も訪島時に訪れられた。両陛下は深々と10秒ほどにわたって拝礼し、白いユリなどの花束を供えられた。慰霊碑の前に進み、水をかけて戦没者に鎮魂の思いを示された。
続いて訪れた硫黄島島民平和祈念墓地公園や「鎮魂の丘」でも供花するなどして拝礼された。
基地では戦没者遺族や元島民の親族で構成する団体の代表者らと懇談された。天皇陛下は「色々とご苦労も多かったのではないですか」と話しかけ、団体について「ご活動はいかがですか」などと尋ねられた。皇后さまも真剣な表情で話を聞かれた。
母方の祖父母が島民という全国硫黄島島民3世の会の西村怜馬会長は記者団の取材に「今回の訪問が、島の歴史を少しでも後世に伝えていく原動力になれば」と語った。
両陛下は同日夜、政府専用機で帰京された。
両陛下は戦後80年に当たる今年、沖縄や広島、長崎も訪問し、各地で戦没者らに祈りをささげられる。
天皇、皇后両陛下は、戦後80年の「慰霊の旅」を硫黄島からスタートされた。
両陛下の今後の訪問先は、戦後50年に合わせて戦跡地を訪れられた上皇ご夫妻と重なる。1年前の1994年に硫黄島を訪れた後、95年に広島、長崎、沖縄を巡られた。慰霊とともに戦禍の記憶を継承する大切さを示された。
足跡をたどるような慰霊の旅だが、異なる点がある。
上皇ご夫妻が子ども時代を過ごされたのは戦時中だった。天皇陛下は2月の記者会見で「私と雅子は戦後生まれで、戦争を体験していません」と言及し、上皇ご夫妻から戦時中の体験談や平和への思いを聞いてきたと述べられた。
また、若い世代が戦争について学び、語り部として活動していることについて「戦後80年を迎えるこんにち、一層意義深い」と強調された。
陛下が継承について思いを深められている背景には、戦争を知る世代の減少がある。総務省の人口推計によると、2023年10月時点で戦後生まれは1億932万人。総人口に占める割合は87.9%となった。
終戦時に成年だった明治、大正生まれは0.3%。戦争体験を直接聞く機会の確保は年々難しくなっている。側近の一人は「戦後世代の陛下だからこそ、戦争を知り、次代につないでいくことを非常に大切に考えられている」と指摘する。
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