幅広な渦巻腕が印象的 ハッブル宇宙望遠鏡が観測した“おとめ座”の渦巻銀河「NGC 4941」

こちらは「おとめ座(乙女座)」の方向約6700万光年先の渦巻銀河「NGC 4941」です。渦巻腕(渦状腕)は明確に分かれておらず、幅の広い1つのリングが明るい中心部分を大きく取り囲んでいるような印象を受ける姿をしています。

【▲ ハッブル宇宙望遠鏡(HST)の広視野カメラ3(WFC3)で観測された渦巻銀河「NGC 4941」(Credit: ESA/Hubble & NASA, D. Thilker)】

星の誕生と星が周辺環境にもたらす影響を調査するためにハッブル宇宙望遠鏡が観測

この画像は「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope: HST)」の「広視野カメラ3(WFC3)」で取得した観測データを使って作成されました。

ハッブル宇宙望遠鏡による最近のNGC 4941の観測は、宇宙のあらゆる時代において銀河の成長と進化を促進する重要なプロセスであるガスの流れ・星形成・フィードバックのサイクルを解明するために、近隣の55の銀河を観測する調査の一環として2024年12月と2025年1月に実施されています。

ESA=ヨーロッパ宇宙機関(欧州宇宙機関)によると、密集した低温のガスや塵(ダスト)の塊の中で誕生した星は、周囲の環境に影響を及ぼし始めます。星は放出した恒星風や電磁波、大質量星の場合は超新星爆発を通じて自身が誕生したガス雲を加熱し、かき乱します。こうしたプロセスは総称して恒星フィードバック(Stellar feedback)と呼ばれていて、銀河が新しい星を形成する速度に影響を与えるということです。

冒頭の画像は“ハッブル宇宙望遠鏡の今週の画像”として、ESAから2025年3月31日付で公開されています。

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

関連記事

参考文献・出典

関連記事: