トランプ氏の「報復税」でドルは5%下落も-アリアンツCIO
Alice Gledhill、Anna Edwards
- 米国、不公正と見なす税制の国の投資家に高い税率を課す方針
- 米国への長期投資奨励するトランプ氏の政策に矛盾-撤回の可能性も
トランプ米大統領が推進する税制・歳出法案に盛り込まれた「報復税」が導入された場合、ドルが5%下落し、株式相場が10%急落する可能性がある。アリアンツのルドビック・スブラン最高投資責任者(CIO)が警告した。
この条項は、米下院を5月に通過した法案に「899条」として盛り込まれたもので、米国が不公正と見なす税制を採用している国々の投資家に対し、米国で得た収入に高い税率を課す内容。
関連記事:米税制法案に込められた「報復税」、デジタル税課税の国の投資家標的
スブラン氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「人々はこの項目に十分に注目していない」と指摘。これが導入されれば市場にとって「非常に恐ろしい局面」になると述べ、株価の10%下落、ドルの5%安、米国債利回りの0.5ポイント上昇につながると予測した。
「市場は899条のインパクトを完全には織り込んでいないと思われる。従って、実施されれば市場に大きな衝撃を与え得る」と話し、この措置は「資本規制の一種」だとの見方を示した。
アリアンツのスブランCIOが「899条」について語る
ウォール街ではこの規定が、トランプ氏の不安定な通商政策や悪化する米財政状況により既に揺らいでいる外国人投資家の信頼をさらに損ない、米資産への投資意欲をそぐとの懸念が広がっている。
関連記事:米上院、下院通過の「報復」課税精査へ-ウォール街が懸念する条項
スブラン氏は、この措置による資本流出は、米国内への長期投資を促進しようとするトランプ氏の政策方針と矛盾すると分析。そのため報復税は撤回され得ると考えていると明らかにした。
原題:Trump’s ‘Revenge’ Tax Could See Dollar Dive 5%, Allianz CIO Says(抜粋)
最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE