悠仁さま 来春から通う筑波大学は「エリートコース」で大正解? 英マンチェスター大学留学という道も

筑波大学生命環境学群の生物学類に推薦入試で合格した秋篠宮家の長男、悠仁さま。4月からは、筑波キャンパスで大学生活がスタートする=2024年7月、秋篠宮邸、宮内庁提供 この記事の写真をすべて見る

 秋篠宮家の長男、悠仁さまが、筑波大学生命環境学群の生物学類に推薦入試で合格し、4月から入学することになった。悠仁さまが通う筑波大付属高校からの進学先としては、偏差値で見れば「中堅」クラスに思えるが、生物学を学ぶうえで高い評価を受けている環境だという。皇室の王道である英国の大学への留学制度もあり、悠仁さまには大正解の進路のようだ。

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 秋篠宮ご夫妻は11月25日、トルコ訪問を前に記者会見し、紀子さまは周囲をゆっくりと見回しながら、はっきりとした口調でこう述べられた。

「やはり長男には、若い時に、もし機会があれば、海外で生活を送り、また、そこの大学で、学校で学ぶ機会があれば良いのではないかと話すことがあります」

 そして、悠仁さまの留学の可能性について、秋篠宮さまと前向きな話をしていると明かした。

 高校3年の悠仁さまの進学先は世間の関心も高く、候補のひとつとして注目されていた筑波大の推薦入試を数日後に控えた時期だっただけに、「留学への異例の言及」とニュースに取り上げられた。  

 筑波大で推薦入試があった11月28、29日、大学の周辺には、受験に訪れる悠仁さまの姿をとらえようと待機するマスコミ各社の姿があった。

 そして合格発表があった12月11日、宮内庁も悠仁さまが合格したことを発表。秋篠宮さまがトルコ訪問を前の会見で「大学に入ったら学びたいと言っているのが自然誌分野」と触れていたように、筑波大学の生命環境学群は、悠仁さまの希望通りの大学だった。  

「エリートコース」でも偏差値50のワケ

 悠仁さまの合格に対し、SNSではお祝いの声が上がる一方、「全国トップクラスの高校なのに――」といった声もあがっていた。

 というのも、大学予備校のサイトを見ると、国立大学の理工系学部でも偏差値が60台後半、70以上という学部もあるなか、たとえば河合塾のサイトで公開されている筑波大生命環境学群の偏差値は50台だ。

 だが、東京大など国立大、医学部といった難関大学専門の受験塾を経営する人物は、筑波大学生命環境学群は「決して中堅校ではなく、優秀な大学」と話す。


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もうすぐ6歳になる悠仁さま。にっこりと誇らしげな表情でバッタを手に持つ場面は、「生物学者」として第一歩を踏み出した時期の一枚=2012年8月、秋篠宮邸、宮内庁提供

 理工系と文系の学部を偏差値の「数字」だけで比べると、文系のほうが一般的に高く、理工系よりも難易度が高いように見えがちだ。しかし、文系と理系で母集団の学生の学力レベルが異なるため、正確に比較するには補正が必要。「理系の偏差値と文系とでは、全く別物」と、前出の大学受験塾の経営者は言い切る。

 そして、筑波大学を受験する学生の学力は、地方の進学校ならば上位レベル。筑波大学の生命環境学群の学問分野は、他の大学では農学部に近いが、同じ程度の難易度の学部としては神戸大学の農学部、岩手大学の獣医学部、そしてすこし上に北海道大学の農学部が位置するという。

「筑波大学は教員の数が多く、生命環境学群も教授がひとりひとりの学生をきめ細かく指導してくれる環境だと聞いています」(前出の大学受験塾経営者)

 大学関係者の間でも評判は高く、大学教授や大手の民間研究施設の研究者といった、いわゆる「エリートコース」を進んだ卒業生も少なくないという。  

那須御用邸で秋篠宮さまと虫捕りをする悠仁さま。狙いを定めるお2人の緊張感が伝わる場面だ=2010年8月、栃木県、宮内庁提供

「生物学では、国内最高の環境のひとつ」

「理系のうち、医学部や薬学部、工学部の電子工学分野など、大学を出た後に高い給料がもらえる『実学部』は偏差値が上がるが、虫(生物)、星(天文)、石(地質学)といった分野は、どうも高給取りとは無縁ですね」

 そう笑うのは、広島大学大学院統合生命科学研究科の長沼毅教授だ。筑波大学第二学群生物学類(現・生命環境学群生物学類)を卒業しており、悠仁さまの「先輩」ということになる。

 悠仁さまが進もうとしている学部は、特に生物学を学びたい学生にとっては国内で最高の環境のひとつだと太鼓判を押す。

 長沼さんは、大学や大学院には専門分野に特化した人材を育てる役割がある一方で、専門以外の知識にも触れさせることが重要と指摘する。

 そして、現在の筑波大は大学院との連携が強化されており、生命環境学群は生物学にとどまらず、生物を取り巻く環境や地球全体について学べるようカリキュラムが組まれているという。

「生物学を学ぶ上で基礎となる古典の知識と生物の分類、そして生物の遺伝情報であるゲノムや進化学まで一か所で網羅できる環境は、ここだけでしょうね」  


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筑波大学のウェブサイトに掲載された10平方メートル(6畳)19410円の学生宿舎の個室。洗面台とベッド、勉強机が備えられたシンプルな部屋=筑波大学公式ウェブサイトより

 フィールドワークが豊富なのも特徴だ。

 同大は、伊豆半島南部には海洋生物学を研究できる「下田臨海実験センター」、長野県には生物科学や地球科学、農学など自然環境に関する研究施設「山岳科学センター菅平高原実験所」を持つ。

 悠仁さまのOGにあたる編集者は、フィールドワークが充実した環境だったと満足気に振り返る。

「いまも同じかわかりませんが、夏休みなどには単位も取得できる野外実習が豊富にあり、1年から3年までは、かたっぱしから応募しました。そして、大学4年目は、下田臨海実験センターの寮に住み込んで研究に没頭したのもいい思い出です」

 大学では他学部の授業も履修し、学ぶことの楽しさと興味の幅が広がったという。

筑波大学生命環境学群との交換留学制度がある英マンチェスター大学。広場と取り囲むように並ぶ歴史を感じさせるクラシカルな建物=マンチェスター大学公式ウェブサイトより

悠仁さまマンチェスター大学留学の可能性

 長沼さんは、筑波大学で生物学を学ぶ大きな魅力のひとつが、英マンチェスター大学の生物科学部との交換留学制度だと話す。

「マンチェスター大学は、生物学研究の中心地のひとつです。学部(学群)生のうちからマンチェスター大学にパイプを持つ大学はなかなかありませんし、本来であれば雲の上の存在の教授陣から指導を受けることができる。生物学の研究者を志す学生にとっては大きなチャンスです」

 皇族のなかには、故・桂宮さまがオーストラリアの国立大学の大学院に、高円宮家の三女・守谷絢子(あやこ)さんは、カナダのカモーソンカレッジとブリティッシュ・コロンビア大学へ留学された経験がある。どちらも英王室とつながりのある英連邦加盟国だが、皇室では英王室とのパイプを構築する側面もあることから、英国に留学するケースがほとんどだ。

 悠仁さまも、皇位継承順位2位の皇族として、マンチェスター大学へ留学することになるのだろうか。

(AERA dot.編集部・永井貴子)

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