米国債、イールドカーブがフラット化-関税でスタグフレーション懸念

Ruth Carson、Masaki Kondo

  • 2年債と10年債の利回り格差、昨年11月14日以来の大幅縮小
  • 関税引き上げがインフレをあおり米国の成長を阻害する恐れ

トランプ米大統領が主要貿易相手国に関税を課する動きを見せる中、米経済がスタグフレーションに陥る可能性があるとの懸念から、米国債のイールドカーブは昨年11月以降で最も大きくフラット化した。

  2年物米国債利回りは4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して4.24%となった一方、10年物利回りは3bp低下の4.51%。利回り格差は日中取引ベースで昨年11月14日以来の大幅縮小となった。

  トランプ氏は、カナダ、メキシコ、中国からの輸出品に対し輸入関税を課す公約を実行に移し、報復合戦のリスクを現実味を帯びた。関税引き上げがインフレをあおり米国の成長を阻害する恐れがあるため、米経済がスタグフレーションに陥るリスクがあると、DBS銀行とSMBC日興証券は指摘している。

  DBSのシニア金利ストラテジスト、ユージーン・レオ氏(シンガポール在勤)「関税合戦の拡大はスタグフレーションの脅威をあおる」と述べ「リスクオフがさらに悪化すれば、10年物利回りに下方圧力がかかるだろう」と指摘した。

  米連邦準備制度は先週、金利を据え置いた。昨年相次いで利下げを行った後、インフレの展開を見守る構えだ。トランプ氏は2日夕、「現時点で金利を据え置くことは正しい判断だ」と述べた。

関連記事:トランプ米大統領、利下げ一時停止は正しい判断-従来姿勢から転換

  オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)は、年内に2回の利下げが行われる確率を約70%と示唆しており、1月31日の90%から低下している。

  SMBC日興証券のチーフ為替・外国債券ストラテジスト、野地慎氏は、生活費のさらなる上昇は景気減速につながるだろうと指摘。「スタグフレーションのリスクが高まるにつれ、米国の長期金利には低下圧力がかかる可能性が高い」と述べた。

原題:Treasury Curve Flattens Most Since November on Stagflation Risk(抜粋)

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