国民の「愛子天皇」待望論を鎮静化できるのか…専門家が「これからの悠仁さまから目が離せない」というワケ(プレジデントオンライン)
秋篠宮家の長男、悠仁さまは9月6日、成年式に臨まれた。今後、皇位継承問題はどうなるのか。皇室史に詳しい宗教学者の島田裕巳さんは「成年皇族として威厳に満ちた姿を国民に見せたが、今後も凜々しい姿を示せるかどうかが、皇位継承問題の決定的な鍵になる」という――。 【写真をみる】柔らかな笑顔を見せる愛子内親王殿下(2022年12月23日撮影) ■成年式が印象づけた皇位継承問題の深刻さ 9月6日、秋篠宮家の悠仁親王の成年式が執り行われた。成年式の中心となる「加冠の儀」についてはNHKで生中継されたが、それを見ていた私の脳裏には、「もしかして成年式はこれが最後になるのかもしれない」という思いが湧き上がってきた。 悠仁親王が成年式を迎えたことで、皇室からは成年に達していない皇族は一人もいなくなった。次に成年式が行われるとすれば、悠仁親王が結婚し、男子をもうけてからである。そこからも最低で18年の月日が必要である。 悠仁親王はまだ19歳で、大学の1年生である。大学生活は4年間続き、その後には、留学も予定されている。結婚は、どんなに早くてもその後だろう。そこまで、これから6年以上ある。 しかも、結婚は相当の難事業になることが予想される。はたして悠仁親王との結婚を考える女性は現れるだろうか。たとえ、結婚がかなったとしても、その家庭に男子が生まれる保証はない。そうなれば、成年式が行われることはない。 今回の成年式は、皇位継承の問題が深刻な状態にあることを改めて印象づけた。実際、皇位継承の可能性があるのは、第1位の秋篠宮、第2位の悠仁親王、そして、上皇の弟にあたる第3位の常陸宮だけである。その常陸宮正仁親王は89歳の高齢であり、今回の成年式にも姿を見せなかった。 しかし、その一方で、成年式に臨んだ悠仁親王は、成年皇族として威厳に満ちた姿を見せた。進学した筑波大学では、同級生ともなじみ、楽しそうにキャンパスライフを送っていると伝えられている。ファミリーレストランや牛丼屋で食事をとり、カラオケにも興じており、庶民的なところを見せているが、成年式の佇(たたず)まいは、それとはまったくかけ離れたものだった。 ■堂々とした姿に悠仁親王を見直した 成年式のような重要な儀式は、一つのドラマとしての性格を持っている。その場に集った人々の視線も、テレビでそれを見つめる一般国民の視線も、儀式の当事者に注がれる。成年式を挙げるにあたっては、悠仁親王も十分な準備を重ね、念入りにリハーサルもこなしてきたことだろう。 だがそれは、人生における一大事であり、しかも一生に一度のことである。当人が緊張しないわけはない。それでも、悠仁親王は立派に主役を演じ、天皇夫妻に対して成年皇族としてのつとめを果たすと挨拶をしたところでは、そこに相当の覚悟が秘められていることを感じさせた。 「これなら将来において皇位を継承しても、十分にそのつとめを果たすに違いない」。そのように、悠仁親王のことを見直した国民も少なくなかったのではないだろうか。 成年に達していない段階では、皇族が国民の前に姿を現す機会はそれほど多くはない。まして言葉を発することもほとんどない。今年の3月3日には、前年の9月6日に18歳の成年を迎えたことを踏まえ、記者会見にも臨んでいる。 その際、本人として緊張していると答えてはいたものの、受け答えは堂々としたものだった。今回の成年式での挨拶も、そうした印象をさらに強めるものとなった。