【日本市況】株式上昇、バフェット氏保有増で商社に買い-債券も堅調
28日の日本市場では株式が上昇した。著名投資家のウォーレン・バフェット氏率いる米保険・投資会社のバークシャー・ハサウェイによる三菱商事株の保有比率が初めて10%を超えたことが分かり、午後の取引で商社株に買いが広がった。債券は上昇(金利は低下)、円は一時1ドル=147円ちょうどまでやや円高が進んだ。
アイザワ証券の河西幸弘シニアストラテジストは「バフェット効果は依然として大きい」と指摘。東京証券取引所によるコーポレートガバナンス(企業統治)改革への期待は引き続き高く、「海外投資家の日本株買いは今後も続く」と述べた。
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人工知能(AI)向け半導体メーカー大手の米エヌビディアの決算を通過し、様子見姿勢を強めていた投資家が買いを入れやすくなった面もある。電機や情報・通信のほか、前日の海外原油市況の反発を材料に鉱業など資源関連も上昇。金融や自動車などバリュー株も堅調だった。
富国生命保険の野崎誠一有価証券部長によると、「エヌビディアの決算を終え、買いを手控えていた投資家が動き出した」という。また、日本銀行の利上げ観測などを背景にバリュー株に資金が入っているとし、「今後もバリュー株買いの流れは強まりそうだ」と話した。
国内株式・債券・為替相場の動き-午後3時31分現在- 東証株価指数(TOPIX)の終値は前日比0.7%高の3089.78
- 日経平均株価は0.7%高の4万2828円79銭
- 長期国債先物9月物の終値は前日比8銭高の137円43銭
- 新発10年債利回りは1ベーシスポイント(bp)低い1.615%
- 円は対ドルでニューヨーク終値比0.1%高の147円21銭
株式
三菱商株は2%近く上昇し、同じくバークシャーによる追加取得が明らかになった三井物産など他の商社株も買われた。米保険会社を買収すると発表したSOMPOホールディングス株は3%超上昇。
ソフトバンクグループやフジクラなどAI関連銘柄も高い。エヌビディア株が決算後に時間外取引で下落し、アドバンテストやディスコは売りが先行する場面もあったが、午後は上昇に転じた。
野村証券の伊藤高志シニア・ストラテジストは、エヌビディアの8-10月期(第3四半期)売上高の見通しは、中国向けデータセンター関連売上高が含まれていないにもかかわらず、アナリスト予想の平均を上回っており、ポジティブだと述べた。
債券
債券相場は上昇。月末を控え投資家が保有債券の年限を長期化するための買いなどで超長期債が堅調となり、相場全体を支えた。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは超長期債利回りの低下について、朝日新聞の調査で総裁選前倒しについて自民党議員の約8割が賛否を明らかにしなかったとの報道が影響したと指摘。「石破首相続投の可能性が高まったこと」が金利低下に表れているとの見方を示した。
一方、2年債入札の弱めの結果は相場の重しとなった。最低落札価格が100円5銭と市場予想の100円8銭を下回り、大きいと不調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は2銭2厘と、前回の5厘から拡大。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は2.84倍と、2009年6月以来の低水準だった。
みずほ証券の大森翔央輝チーフ・デスク・ストラテジストは、2年債入札は先回り買いが強過ぎたせいか、弱い結果になったと指摘。先回り買いが来月初めに行われる10年、30年債入札でも入るようなら、「不安を覚える。海外投資家にとっては入札に参加しづらくなる可能性が高い」と懸念を示した。
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日銀の中川順子審議委員は28日、金融政策運営について各国の通商政策などの今後の展開やその影響を巡る不確実性が高い状況が続いているとし、今後のデータや情報を丁寧に確認し、適切に判断していくと語った。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤原和也債券ストラテジストは「展望リポートの内容と大きく変わらず、金融政策について目新しいものはほとんどなく、影響は限定的」と見ていた。
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新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債 0.860% 1.160% 1.620% 2.615% 3.190% 不成立 前日比 -0.5bp 横ばい -0.5bp -3.5bp -4.0bp -為替
円相場は一時1ドル=147円近辺まで上昇。日銀の中川審議委員の発言を受けて円買いが進んだ。中川氏は会見で関税政策の影響に関する不確実性について、7月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)の表現を4月と比べると少しは下がったと指摘。「利上げできる環境という意味では、4月よりは少し改善の傾向」との認識を示した。
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は、中川氏の発言は植田和男総裁のジャクソンホール会合での講演に沿った内容で、日銀は「年内の利上げ方針を固めたという印象を受ける」と話した。ただ、1ドル=146円台では日本企業の実需のドル買いも入り、円がこのまま一気に上抜ける勢いはないとも言う。
あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、米利下げ観測を背景に「ドルの上値は重い」とした半面、日銀の9月の利上げは想定されず、円を積極的に買い進める動きも限られ、引き続きレンジ相場が続くと予想する。
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。