相反する二つの米経済データ、リセッション懸念巡る議論に拍車

Enda Curran、Augusta Saraiva

  • 「ソフトデータ」は減速警告、政府統計は懸念が行き過ぎと示唆
  • 相反するシグナルにより米経済の先行きについて不安広がる
Photographer: Yuri Gripas/Abaca

米経済を巡り、家計などの景況感データと政府統計が示す内容が大きく乖離(かいり)している。こうした状況に伴い、トランプ大統領の貿易政策の不安が深刻な景気悪化を招くか否かを巡る議論に拍車がかかっている。

  トランプ氏が関税や連邦支出削減を進める中、家計や企業の景況感調査で得られた「ソフトデータ」は、今後の著しい減速の可能性を警告している。

  一方、雇用・製造業などの政府統計による「ハードデータ」は、スタグフレーションやリセッション(景気後退)の可能性さえ含むソフトデータの懸念は行き過ぎだと示唆している。

  こうした相反するシグナルにより、米経済の先行きについて当局者やウォール街に不安が広がっている。

  世界で強さを誇っていた米経済は、数週間の間に不確実性の主因へと変わった。米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者は今年の成長率予想を引き下げた一方、経済協力開発機構(OECD)は、米通商政策が世界の経済活動を減速させると予測している。

  不安の多くは、米ミシガン大学と民間調査機関コンファレンスボードの消費者関連調査に起因するものだ。ともに関税が物価上昇につながるとの懸念を挙げている。ナイキやデルタ航空など各社の幹部がこのトレンドを指摘。過去1カ月の株安要因にもなっている。

  シティグループの米国担当チーフエコノミスト、アンドルー・ホレンホースト氏はソフトデータについて、「経済で起きていることを全て反映しているとは捉えない方がいい」とする一方で、目配りする必要性を指摘する。

  「ハードデータだけを見ていると、1カ月前、時には2カ月前に起きていることを見てしまう」とした上で、ソフトデータの調査では「人々が先行きについて何を考えているかを示している」と同氏は話した。

原題:Diverging Data on US Economy Ignite Debate Over Recession Fears(抜粋)

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