トランプトレード反転、米国債のリターンが米国株上回る
- 米国債のトランプ氏当選後のリターンは2.1%-米国株は1.6%
- 安全資産需要による米国債の買いが鮮明に、米利下げ観測も追い風
米国債のトランプ氏当選後のリターンは現在、米国株を上回っている。一部のストラテジストは米国債にさらなる上昇余地があるとの見方を示している。
ブルームバーグの米国債のトータルリターン指数は昨年11月5日の大統領選以降に2.1%上昇し、S&P500トータルリターン指数(配当の再投資を含む)の1.6%上昇を上回った。安全資産需要による米国債の買いが一段と鮮明になる一方で、米追加利下げの可能性が債券のさらなる追い風となっている。
一方、世界的な成長見通しが悪化していることや、エヌビディアなど市場をけん引する銘柄が過大評価されているとの懸念から、米国株は下落。これらを総合すると、いわゆるトランプトレードとは正反対の動きだ。
ペッパーストーン・グループのシニア調査ストラテジスト、マイケル・ブラウン氏は「年内の50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)、100bp、150bpの米利下げは容易に想像できるが、同じ規模での金融引き締めは不可能ではないにせよ難しいだろう」と指摘。それに成長を巡る懸念が重なれば、容易に債券の「強気見通し」につながるとの見方を示した。
貿易戦争の激化で世界経済が打撃を受けるとの懸念から、米10年債利回りは4日、昨年10月以来の低水準に低下。米製造業活動が2月に停滞の領域に近づいたことが指標で示されたことも、債券の魅力が高まる要因となった。
マシュー・ホーンバック氏らモルガン・スタンレーのストラテジストはリポートで、「『米国例外主義』というストーリーは1年余りマクロ市場をけん引してきたが、米欧の成長リスクを踏まえると、今後は一段と苦戦する」と指摘。「米国債はこのストーリーの見直しから最大の恩恵を受ける」との見通しを示した。
原題:Trump Trades Are Upended as Treasuries Returns Beat US Equities (抜粋)