ドル指数、ニクソン政権後で最大の下げへ-米大統領の就任100日間
トランプ米政権は近く、発足から100日となる。米政権発足後最初の100日間のドル指数はこのままいけば、ニクソン政権時代にさかのぼるデータで過去最悪の騰落率となる。
ドル指数はトランプ大統領が2期目を開始した1月20日から4月25日までに約9%下落。4月末までの期間としては、少なくとも1973年以降で最大の下げとなる見通しだ。ニクソン大統領の2期目が始まった1973年とバイデン大統領が就任した2021年までの間、政権発足後最初の100日間のドル指数の平均リターンはプラス約0.9%だった。
1971年にニクソン大統領がドルと金の交換停止を発表し、変動相場制に移行した。第2次世界大戦後の国際的な通貨の枠組み「ブレトンウッズ体制」の下での固定相場制が事実上終了し、ドルは下落した。
トランプ大統領は2期目の開始とともに、さまざまな選挙公約を実行に移し、新たな関税措置の導入や中国その他の貿易相手国・地域に対する攻撃のトーンを強めた。同氏の関税政策を受けて投資資金は米国外の資産に流入。ドルは下落し、他の通貨や金が買われている。トランプ氏の返り咲き以降、ユーロとスイス・フラン、円はいずれも対ドルで7%以上、上昇している。
BMOグローバル・アセット・マネジメントのマネジングディレクター、ビパン・ライ氏は「ドルの普遍性と国際貿易・金融における役割は、米国の制度に対する深い信頼や貿易・資本の低い障壁、予測可能な外交政策に支えられてきた」と指摘。
「しかし現在、そうした基盤には明らかなほころびが見え始めており、世界的な資産配分のトレンドがドルに不利な方向へと変化しつつある。当社ではこれを構造的シフトと捉えている」と述べた。
トランプ氏が推進する政策はまた、米国のリセッション(景気後退)とインフレ再加速を同時に招くリスクを高め、米金融当局による利下げ余地を限定し得る。
解任を主張するなどパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長に対するトランプ氏の発言は投資家を警戒させ、FRBの独立性を巡る懸念を高めた。トランプ氏はその後、パウエル氏を解任する意図はないと述べた。
UBSグループはドル相場の見通しを、この2カ月足らずの間に2度引き下げた。相場は米中対立の行方にかかっていると同社は指摘している。
ドイツ銀行は今週、構造的な下落トレンドにより、ドルは今後数年間で、過去10年余りでの対ユーロ最安値水準まで下落するとの予想を示した。
原題:Dollar Poised for Worst First 100 Days of Presidency Since Nixon(抜粋)