LUNA SEAは止まらない! 仲間との絆、リスペクト、信じる力で奇跡あふれた「ルナフェス」2日目
LUNA SEA主催のロックフェス「LUNATIC FEST. 2025」の2日目が、11月9日に千葉・幕張メッセ国際展示場9~11ホールで開催された。
チケットがソールドアウトとなった2日目にはNEMOPHILA、ROTTENGRAFFTY、9mm Parabellum Bullet、MUCC、凛として時雨、黒夢、UVERworld、THE YELLOW MONKEY、BUCK∞TICKが集合。悪天候かつ低気温というコンディションをものともせず、終始SLAVE(LUNA SEAファンの呼称)たちの熱気あふれる1日となった。 初日に引き続き、この日も冒頭にはRYUICHI(Vo / LUNA SEA)が1人ステージに登場。LUNA SEA屈指のバラード「I for You」のワンフレーズを伸びやかに歌い上げ、「ルナフェス」の開幕を高らかに宣言した。
NEMOPHILA
2日目のトップバッターを飾ったNEMOPHILAは重厚なメタルチューン「鬼灯」「アナタダレ」で、朝早くから集まったオーディエンスを爆音で歓迎した。mayu(Vo)がパワフルなシャウトを連発する中、むらたたむ(Dr)の圧倒的手数によるドラミングをバックに、葉月(G)とハラグチサン(B)が回転ヘッドバンギングを披露。数々のインパクトあふれるステージングが繰り出されるうち、フロアから続々とダイバーが出てくるほどの盛り上がりを見せた。中盤では先日バンドのYouTube公式チャンネルで演奏動画が公開されたLUNA SEA「TONIGHT」をカバー。アウトロで再びサビを盛り込む、本家のライブアレンジを踏襲することでリスペクトを示した。
ROTTENGRAFFTY
初回の2015年から10年ぶり、2度目の「ルナフェス」出演を果たしたROTTENGRAFFTY。N∀OKI(Vo)とNOBUYA(Vo)はドスの効いたシャウトを巧みに盛り込んだ「ハレルヤ」、伸びやかに歌い込む「夢幻獄」と楽曲ごとにスタイルを使い分ける、表情豊かなボーカルで観客を圧倒した。合間には「恥ずかしがること、なんもあらへん! お前だけのステップでぶっ飛んでいこう!」「今や! 今を燃やせ!」と盛んにアジテートを繰り出すことで、終始ハイテンションをキープ。そしてラストナンバーでは、LUNA SEAの初期曲「FATE」をカバー。NOBUYAが「歩みを止めず、突き進んでいくバンドが一番カッコいい」と語ったMCを示すように、10年前からさらに成熟したパフォーマンスを展開した。
9mm Parabellum Bullet
メタル、ミクスチャーと前半からさまざまなジャンルのアーティストたちがしのぎを削る中、9mm Parabellum Bulletはオルタナを基調としたサウンドを披露。キャッチーかつメロディアスなフレーズを次々と掻き鳴らし、9mmならではのポップセンスを光らせた。十分にフロアを温めたあと、菅原卓郎(Vo, G)はインディーズ時代の19年前にJ(B / LUNA SEA)と出会ったことを振り返りつつ、「新しい光」で彼とのコラボを実現。J、中村和彦(B)、かみじょうちひろ(Dr)のリズム隊3人で強靭な低音を生み出した。なおJは9mmを「もうそんなに経ってんだ! 大人になったな」と労いつつ、「もっと暴れなきゃダメだよ!」と激励。その言葉に押され、滝善充(G)はステージ中を猛烈な勢いで動き回っていた。
MUCC
演奏開始前から観客たちの盛大な拍手を受けたMUCC。逹瑯(Vo)は「あんまり大きい歓声で呼ばれると緊張しちゃう。ありがとうございます」と謙虚に挨拶するが、「愛の唄」では色気あふれる歌声と身のこなしで、フロアのムードを妖しげに変貌させた。目まぐるしく曲調が変化する「KILLEЯ」、ダークかつハードなミドルチューン「G.G.」を経て、逹瑯は「俺が一番このフェスを楽しんでる自信ありますんで、どっちがすごいか勝負しようぜ」と宣言する。ところが「蘭鋳」の演奏前には「座ってほしいな。きっとRYUICHIさんも望んでると思う」と独特な語り口でオーディエンスにジャンプを催促。ユーモアな一面も見せつつ、ラストナンバー「Never Evergreen」で壮大かつロマンチックなひとときを演出した。
凛として時雨
轟音ギターを複雑に組み合わせたSEとともに登場した凛として時雨は、TK(Vo, G)のソリッドなカッティングとハイトーンのボーカルが激しく飛び交う「abnormalize」、浮遊感に満ちた音像でフロアを包み込んだ「Loo% Who%」を強烈な爆音でプレイ。TKと345(Vo, B)の緻密に絡み合う歌声、ピエール中野(Dr)の激しく力強いドラミングにも熱がこもっていき、どんどんと勢いを増していった。終盤に「すべて出し尽くします」と宣言したTKは、「Telecastic fake show」「感覚UFO」をシームレスにつなげる形で演奏。3人体制ならではの緊張感に満ちたセッションをノンストップで繰り広げ、ストイックな姿勢を貫いてパフォーマンスを終えた。
黒夢
今年「SUMMER SONIC」「ARABAKI ROCK FEST.」など多数のフェスに参加した黒夢は「ルナフェス」にも満を持して登場。彼らは冒頭からLUNA SEAの楽曲「BLUE TRANSPARENCY 限りなく透明に近いブルー」「Dejavu」を立て続けにカバーし、観客たちの度肝を抜いた。清春(Vo)は力強く色気あふれる歌声をのびやかに響かせ、オーディエンスの注目を掌握。コールを促して一体感を強めていく中、代表曲とも言える「少年」ではSUGIZO(G / LUNA SEA)をゲストに迎えて演奏を披露した。SUGIZOのソリッドなギタープレイに合わせて人時(B)のベースもうなりを上げ、お互いに笑顔を交わし合う場面もあった。さらに「後遺症 -after effect-」ではROTTENGRAFFTYのN∀OKIとNOBUYAが参加し、3人の歌声が激突。「ルナフェス」ならではの貴重なコラボレーションが多数行われた。
UVERworld
UVERworldは「NO MAP」でライブの幕を開け、冒頭からフルスロットル。大ぶりのネックレスを揺らしブルースハープを吹くTAKUYA∞(Vo)が「のっけからクライマックスのように!」と叫ぶ。重低音がうねる「PHOENIX AX」に続き、「おいルナフェス、準備できてっか!」と気合十分だ。TAKUYA∞が日々10kmのランニングをし、腸腰筋を鍛える理由を「初めて観るやつにぶっ刺さるため」と語ったあとは、「PRAYING RUN」へ。「先輩風も後輩風も吹かせない。いいところも悪いところもさらけ出して、それを愛してくれる人を倍の気持ちで愛して!」との言葉に続けて、「Eye's Sentry」を届けた。さらにLUNA SEAのRYUICHIをゲストに迎え、「ROSIER」で肩を並べて熱唱。握手とハグで絆を示した。バンドは“今のUVERworldが最も伝えたい曲”だという「EN」をエモーショナルに披露し、「7日目の決意」までアスリートのように研ぎ澄まされたステージを貫いた。
THE YELLOW MONKEY
THE YELLOW MONKEYは菊地英昭(G)のギターソロを経て、吉井和哉(Vo)の「幕張! ロックンロールでいきましょう!」の一声で「楽園」へ。続く「SPARK」で熱狂が一気に加速した。吉井は「やっとルナフェスに出られました。LUNA SEAには昔からお世話になっていて、僕らがブレイクしたのはイベント(1994年開催の『L.S.B.』)に出させてもらってから。今日は恩返しに来ました」と語り、同年発表の楽曲「A HENな飴玉」を歌唱。「太陽が燃えている」では「お月さんと太陽が重なっています!」と叫び、LUNA SEAへの敬意をセットリストでも示す。吉井の歌声は観客を高揚させ、メンバーの笑顔も弾ける。「LOVE LOVE SHOW」のあと、吉井は「年を重ねても反骨精神を忘れず、最後までロックしていく」と宣言。不屈のバンドとしての矜持を刻み、初期ナンバー「WELCOME TO MY DOGHOUSE」で堂々と自分たちのパフォーマンスのフィナーレを飾った。
BUCK∞TICK
BUCK∞TICKは「雷神 風神 - レゾナンス #rising」でライブを開始。今井寿(Vo. G)の「楽しいじゃんルナフェス、もうちょっとアガってこうか」という言葉から「冥王星で死ね」へ流れ、ヤガミ・トール(Dr)の規則的なタム回しや今井と星野英彦(Vo. G)の合いの手が、フロアを深淵へと引き込む。そして「スブロサ SUBROSA」で観客をさらなるBUCK∞TICKワールドへと誘った。最新曲「渋谷ハリアッパ!」などを経て、後半にはLUNA SEAのJがゲストとして登場。Jは今井と同じように目の下に白いラインを引いてバンドへのリスペクトを示しつつ、「TIKI TIKI BOOM」で暴れ回った。BUCK∞TICKはラストに「ガブリエルのラッパ」を投下し、耽美かつカオスな世界観でフィニッシュ。BUCK∞TICKの今がリアルに詰まった時間となった。
LUNA SEA
豪華出演者が多数登場したイベントの大トリを飾ったのは、もちろんLUNA SEA。“ロッキンママ“こと92歳の東海林のり子の呼び込みで登場した彼らのライブでは、リハビリ中の真矢(Dr)の代役を淳士(Dr / SIAM SHADE)が務めた。「月光」をBGMにステージに上がり、バンドは1曲目「STORM」でいきなり熱狂を巻き起こす。続く「TONIGHT」ではINORAN(G)がギターカッティングを刻み、爆音の特攻も相まって興奮が加速。メンバーは縦横無尽にステージを駆け回った。RYUICHI(Vo)は2022年に声帯の手術を受け、いまだ万全とは言えない。それでもRYUICHIは全身全霊で声を振り絞って「END OF SORROW」を熱唱。MCでは出演者に感謝を伝えつつ、「絆とリスペクト、信じる力が絶対にフェスには重要」と語った。ライブは続き、「gravity」「宇宙の詩 ~Higher and Higher~」で幻想的なサウンドが会場全体を包みこんだあと、名バラード「I for You」へ。RYUICHI渾身の歌声に多くのファンが涙した。
ライブ後半にはJ(B)が「喉、大丈夫?」と声をかけ、観客とともにRYUICHIを支える場面も。気丈に振る舞うRYUICHIは「今日という日は2度と来ない。明日は明日。今日来てくれたみんなに、しっかりしたものを届けたい」とボーカリストとしての覚悟を示す。「TIME IS DEAD」ではRYUICHIによる「セカンドボイス!」のかけ声からSUGIZO(G, Violin)の緩急鋭いギターソロが炸裂。観客のシンガロングも加わり、会場の一体感が最高潮に達した。バンドはさらに「ROSIER」「UP TO YOU」へとつなげ、INORANが「みんなの声を聞かせてくれ!」と声を上げる。すると盛大なシンガロングが響き、RYUICHIは「どうもありがとう!」と繰り返し叫んだ。
アンコールではこの日の出演者から黒夢、9mm Parabellum Bullet、MUCC、NEMOPHILA、THE YELLOW MONKEY、ROTTENGRAFFTY、凛として時雨、BUCK∞TICKのメンバーが登場。リハビリ中の真矢も歩いてステージに現れ、会場は歓声に包まれた。大腸がんと脳腫瘍の治療を続ける中で杖なしで歩けるまでに回復した真矢。彼は淳士に手を引かれ、ドラムセットのある位置に座り、最後の「WISH」のセッションを優しいまなざしで見守った。
2日間におよび豪華アーティストとの共演や、真矢の驚異的回復など、「奇跡は起きる」ことを証明したLUNA SEA。12月23日に東京・有明アリーナで開催されるクリスマスライブ「LUNATIC X'MAS 2025 -OUR JOURNEY CONTINUES-」に向け、真矢は「もしかしたら1曲も叩けない、1、2小節しか叩けないかもしれない。でも今日の声の張りを聞いたら3小節はいけるかもしれない! そう思ってリハビリに専念するよ」と笑顔を見せ、「LUNA SEAは決して止まらないからね! みんな愛してるよ!」と力強く締めくくった。
セットリスト
「LUNATIC FEST. 2025」2日目 2025年11月9日 幕張メッセ国際展示場9~11ホール
NEMOPHILA
01. 鬼灯02. RISE03. アナタダレ04. TONIGHT(カバー)05. 開花宣言06. REVIVE
07. OIRAN