2024年の航空事故死者数、年末の2件で計318人に-6年ぶりの多さ

2024年は年末にアゼルバイジャン航空と韓国・チェジュ(済州)航空の事故が相次ぎ、商用航空事故による死者数がここ6年で最も多い年となった。

  航空データ分析会社シリウムによると、最近の2つの事故を合わせ、24年の旅客機事故による死者数は318人に増加。ボーイング737MAXの墜落事故が2件発生し、死者が500人を超えた18年に次ぐ数字に達した。

  24年の航空機事故は日本に始まり、韓国で終わりそうな格好だが、この2件は飛行段階で最も危険があるとされる着陸時に起きた。死者を伴う航空事故は依然として極めてまれで、大型事故が1件発生すると、統計的に安全だった年を最悪の1年の一つにしてしまう。

Accidents and deaths onboard commercial passenger aircraft

Source: Cirium data analyzed by Bloomberg

  アラブ首長国連邦(UAE)と香港で航空機事故調査チームを率いた経験があるダレン・ストレイカー氏は「最近の急増は予測不能の範囲に入る」と指摘。航空会社の乗務員はいわゆる異常事態に対応できるような訓練がもっと必要だとの見方を示す。

  チェジュ航空のボーイング737-800が29日午前、韓国南西部の務安国際空港に着陸した際に起きた事故については、調査が進んでいる最中だ。同機は胴体着陸して滑走路の壁に激突し炎上、乗客・乗員181人のうち179人が死亡した。

  チェジュ航空の死亡事故は同社初で、韓国史上最悪の民間航空事故となった。

  韓国国土交通省の当局者によれば、チェジュ航空機が務安空港に接近した際、パイロットの1人がバードストライクを報告し、緊急事態を知らせるメーデーを発信した上で、着陸をやり直す手順を始めた。同機はその後引き返し、反対方向から着陸を試みたが、進路上には滑走路の端に壁があった。

務安国際空港の事故現場で焼け残ったチェジュ航空機の尾翼部分(12月29日)

  米連邦航空局(FAA)の元事故調査責任者、ジェフ・グゼッティ氏は、バードストライクが「今回の悲劇的な一連の出来事のきっかけ」になったことは明白になってきているように見受けられるとしながらも、その次に何が起きたのかはそれほど明らかでないと話す。

  主な疑問点は、旅客機を減速させることができたはずのフラップがなぜ伸びなかったのか、なぜ着陸装置が下がらなかったのかなどだと、グゼッティ氏は指摘。もし鳥が両方のエンジンにダメージを与えたのであれば、他のシステムに影響を与える電源喪失を引き起こした可能性があると語った。

  「両方のエンジン、あるいは片方のエンジンが停止した場合でも、コックピット内では多くの注意や警告、ベルやホイッスルが鳴り響くことになる」とし、「これは乗務員にとって実に大変なことだ」と述べた。

  30日の米株式市場で、ボーイングの株価は前週末比2.3%安で取引を終えた。

  世界的な紛争も、航空機事故による死者数増加に寄与している可能性がある。アゼルバイジャン航空のエンブラエル190は、12月25日にバクーから目的地であるロシアのグロズヌイに予定通り到着しようかというところで突然、行き先を変えてカスピ海を横断した。同機は損傷し、カザフスタンのアクタウまで約3キロの地点で墜落したが、アゼルバイジャンのアリエフ大統領はロシアの偶発的な攻撃を受けたと述べた。

  23年はボーイングやエアバスなど大手航空機メーカーが生産をほぼ担う大型旅客機での事故死亡者がゼロで、航空史上最も安全な1年だった。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が収束して以降、運航便数が増える中でも安全性の改善が続いていたが、24年はそのトレンドを覆した。

原題:Two Plane Crashes Lead to Deadliest Year in Skies Since 2018 (3)(抜粋)

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