あの「伝説の場所」が現実に! いつか行きたいゲームの聖地6選
エジプト、ルクソール近くの「王家の谷」は「アサシン クリード オリジンズ」などの人気ビデオゲームに出てくる。ゲームをプレイすれば、この歴史的な場所が行きたい場所リストに加わるだろう。(PHOTOGRAPH BY PAOLO VERZONE, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
旅行情報検索サービス「スカイスキャナー」が最近行った調査によれば、米国人旅行者の少なくとも35%が、海外旅行を予約する際、自分のプレイしたビデオゲームに触発された、と回答している。技術がどんどん利用しやすくなり、洗練されていくなかで、ビデオゲームは昔ながらのメディアの手が届かない部分で勢力を伸ばし続けている。ビデオゲームの内容にまつわる旅をする映画制作者のメイ・ナイドゥー氏は、この点に特に驚いてはいない。氏にはビデオゲームの強みがはっきりと見えているのだ。
「映画には、見た人をある場面に瞬間的に引き戻す力がありますが、ビデオゲームはもっと参加型です。登場人物や物語とともに、その瞬間ゲームの中に入り込むのです。知覚的体験として、はるかに没入した状態と言えるでしょう」と、ナイドゥー氏は話す。
ゲーマーのディディエ・サウス氏も賛同する。「ビデオゲームのリアリティは、グラフィックと物語の両面において、新たな次元へと到達しつつあります。すると現実でその世界観を味わう楽しさも増えますし、同時に、そもそもそれが現実を土台にしているのだという期待値も高まります」(参考記事:「『ファイナルファンタジーXIV』の世界観にナショジオが与えた影響とは?シナリオライター織田万里氏に聞く」)
今、こうしたビデオゲームツーリズムの世界に飛びこむ旅行者が増えている。サウス氏もそのひとりだ。
氏が現在はまっているのは、2025年発売の「キングダムカム・デリバランスⅡ」という、15世紀のボヘミアを舞台にしたロールプレイイングゲームだ。氏のプレイ時間は100時間を超えているが、ただゲームをプレイして終わりではない。ゲーム内に出てくる場所のメモをとっていて、年内にチェコを訪れ、実際に見に行く計画を立てている。
さあ、この流れにのって、実際にゲーム開発者にインスピレーションを与えた場所を訪れてみよう。それではゲーマーのための現実世界の旅先を6つ紹介していく。
1.東京の電気街
秋葉原の店頭に飾られているポケモンのピカチュウ。(PHOTOGRAPH BY SIPA USA, ALAMY STOCK PHOTO)
ゲーマーがまず立ち寄るべきは、有名な秋葉原(アキバ)だろう。高性能なものも扱う電子機器店に、ファンの喜ぶホビー店、ゲームセンターと、まさにゲーム好きにとっての聖地だ。「モンハン酒場」では、「上手に焼けました♪こんがり肉」をはじめ、ゲーム内の要素そのままのメニューが楽しめる。
その後、池袋の「ポケモンセンターメガトウキョー」に向かって、道すがらレアなポケモンを探すのもいい。あるいは、さらに文化的に深く知りたければ、東京国立博物館を訪れて縄文時代の焼き物を見よう。「ゼルダの伝説」シリーズの「ブレス オブ ザ ワイルド」や「ティアーズ オブ ザ キングダム」の重要なシーンに影響を与えたものが見られる。(参考記事:「ポケモンカードの元祖、トランプとトレーディングカードの進化史」)
2.ヴァルハラとオーロラ
ギャラリー:いつか行きたいゲームの聖地 写真9点(写真クリックでギャラリーページへ)
「ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク」を楽しんだ人なら、ノルウェーのヨートゥンハイメン国立公園を訪れ、この人気ゲーム内に出てきたベッセゲン尾根のトレッキングに挑戦してみるのもいいだろう。(PHOTOGRAPH BY STEVE TAYLOR ARPS, ALAMY STOCK PHOTO)
ノルウェーの首都オスロ初のデジタル博物館「ザ・バイキング・プラネット」の没入感のあるハイテクディスプレイで、北欧神話の世界観を味わおう。この博物館のテーマはバイキング時代だ。歴史的なバイキングの船(オーセベリ船やゴクスタ船)の中をデジタル上で歩き回ったり、バイキングの襲撃をVRで体験したりといった、参加型の展示も楽しめる。(参考記事:「9世紀のバイキング船、埋葬された高貴な女性の謎」)
それから、スタバンゲル近郊にある、当時のままの屋外博物館「鉄器時代の農場(Jernaldergarden)」で、サバイバルスキルを試そう。鉄器時代のこの地域に着想を得た作品が「アサシン クリード ヴァルハラ」だ。(参考記事:「中世の暗殺教団「アサシン」は実在したのか 通説を検証」)
ゲーマーの中には、ヨートゥンハイメン国立公園内のベッセゲン尾根や氷河を探索すると、「ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク」を思い出す人もいるかもしれない。オーロラを見にトロムソまで足を伸ばすなら、出かける前にトロムソ市内のバーガー店「Burgr」で、ゲームにインスピレーションを受けたメニューを試してみよう。(参考記事:「日本のマンガやゲームに北欧神話が広まった歴史をひもとく 」)