新NISAの利用者、7割超が運用益確保 QUICK資産運用研究所調査

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2024年1月に始まった新NISA(少額投資非課税制度)。QUICK資産運用研究所が11月に実施した「個人の資産形成に関する意識調査」によると、制度を利用している人は全体の3割超にのぼる。その大半が運用益を確保していることがわかった。

QUICK資産運用研究所による調査は24年11月15〜30日に実施し、全国の18〜74歳を対象にインターネット経由で合計5075人から回答を得た。16年から毎年同規模で続けており、今回で9回目となる。24年調査では新NISAの利用状況などを聞いた。

新NISAの利用者は1571人と、回答者全体の31.0%だった。制度開始前の前回調査(23年11月29日〜12月5日実施)で「利用する」「利用する方向で検討している」の合計が37.1%だったのと比べると、実際に利用している割合はこれよりも少ない。

投資枠別に分けてみると、新NISA利用者のうち成長投資枠とつみたて投資枠の両方利用している割合が4割強(全体の12.6%)を占め、「つみたて投資枠のみ」(同10.3%)や「成長投資枠のみ」(同8.0%)よりも多い。利用目的では、複数回答で「老後・将来の生活資金をためるため」が7割超と断トツだった。

回答者のうち新NISAを利用していないのは2904人。利用者よりも人数が多く、全体の57.2%を占めた。そのほとんどは新NISA口座を未開設で、一部に口座開設だけして利用していない人が存在した。

利用しない理由の1位は、「制度内容がよくわからないから」(25.3%)。2位は「損をしたくないから」と「投資に回すお金がないから」が同率の21.8%で並んだ。今後については「利用する予定」との回答が6.8%あったものの、「利用するか迷っている」が15.3%、「利用する予定はない」が42.6%、「まだわからない」などが35.3%と慎重な姿勢が目立った。

新NISAで何に投資しているか複数回答で聞いたところ、成長投資枠では国内の個別株式が54.8%で最も多く、つみたて投資枠ではインデックス型(指数連動型)投資信託の全世界株式型が46.3%で首位、先進国株式型が30.5%で2位だった。

調査時点の運用成績を聞いてみると、運用損益がプラスと回答した人の割合が70.7%にのぼった。損益区分別では「プラス10%以上30%未満」が32.4%で最も多い。評価額ベースで2ケタ台のリターンを上げている人が5割を超えている。今年は8月に日本株の歴史的な乱高下があったものの、先進国を中心に世界の主要な株価指数が年初と比べて上昇し、外国為替相場も円安傾向だったことで新NISA利用者の多くが恩恵を受けられたようだ。

新NISAの年間非課税投資枠は、成長投資枠が上限240万円で、つみたて投資枠は上限120万円。24年の非課税投資枠をどれだけ使う予定かを月額にならして聞いたところ、成長投資枠ではフル活用(月20万円)が19.0%、つみたて投資枠ではフル活用(月10万円)が18.2%だった。

つみたて投資枠では、「月1万〜3万円」の回答が26.8%で最も多かった。両枠利用している人に限ると、上限の合計360万円をフル活用する予定と回答した人が18.4%にのぼった。

「新NISAを利用してよかったと思いますか」との質問では、「よかった」「どちらかといえばよかった」という感想の合計が73.0%を占めた。「非課税で資産運用ができているから」「預貯金よりも増やせそうだから」「資産を増やすことができたから」などがその理由だ。

一方、「よくなかった」「どちらかといえばよくなかった」と答えた人(合計2.8%)の中には、「運用損失で資産が減ってしまった」「購入したい商品が買えない」といった理由のほかに、「自由に使えるお金が減った」「相場の動きに一喜一憂して疲れてしまう」という回答もあった。長期目線で資産形成に取り組むには、投資に回す金額や選ぶ金融商品などで無理をしないことも重要だ。

今回の調査では、金融知識レベルが高い人ほど新NISAを利用していることがわかった。金融に関する6つの問題を解いてもらい、その正解数に基づいてAからDまで4段階にレベル分けしたところ、金融知識が最高のAレベルでは新NISAの利用者割合が62.0%だったのに対し、最低のDレベルは13.7%と大差がついた。利用者の裾野拡大と長期投資の継続を促すには、金融リテラシーの底上げがカギを握りそうだ。

(QUICK資産運用研究所 西本ゆき、西田玲子)

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