米政府、1月半ばに債務上限に達する公算大-イエレン財務長官
イエレン米財務長官は、連邦債務上限の突破を回避するため、財務省が来年1月半ばごろから特別会計措置を取り始める公算が大きいと明らかにし、米国の「十分な信頼と信用」を守るための行動を議会に求めた。
イエレン長官は27日、ジョンソン下院議長ら議会指導者宛ての書簡で、「2025年1月2日、債務残高に基づいて新たな債務限度額が設定される」と指摘した。
連邦信託基金が保有する証券の償還が予定され、債務残高は1月2日に540億ドル(約8兆5200億円)減少する見込みであるため、財務省には一時的な猶予が与えられる。
イエレン長官によると、こうした余裕分も1月14日から23日にかけて使い果たされる可能性が高い。その時点で財務省は特別会計措置に頼り始めることになるという。
イエレン氏は、そうした措置がどの程度継続されるか、財務省の手元資金がいつごろ底を突くかについて示唆を与えなかった。
ただ、ウォール街ではすでに試算が始まっている。ゴールドマン・サックス・グループのエコノミスト、アレック・フィリップス氏は12月21日付のリポートで、「債務上限引き上げに関する最終的な期限は2025年7-8月になる可能性が高い」と分析した。
長期にわたる攻防の幕開けか
イエレン氏の書簡は、1月のトランプ次期政権発足に伴う、財政政策を巡る長期にわたる綱引きの幕開けとなる可能性が高い。
通常、野党側は債務上限引き上げや一時停止に関する議会承認の必要性を、税や歳出に関する広範な交渉に利用しようとする。
共和党が11月の選挙で上下両院を制したことから、債務上限の停止や引き上げに関する合意は容易に得られると予想するストラテジストもいた。しかし下院は先週、トランプ次期大統領が支持を表明したつなぎ予算案(予算継続決議案)を否決した。同案には連邦債務上限を2年間停止する内容も含まれていた。ほぼ全員の民主党議員が反対票を投じ、38人の共和党議員が造反した。
その後、年末の政府機関閉鎖を回避するための3月中旬までのつなぎ予算が可決され、バイデン大統領の署名で成立した。
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債務上限を巡る対立は金融市場に緊張をもたらし、既に高水準にある米国の借り入れコストに上昇圧力がかかる可能性がある。
債務上限を巡る駆け引きは、金融市場にとって繰り返し発生する問題だ。こうした対立では通常、財務省が債務上限の制約の下で短期国債の発行を減らすため、期間短めの利回りは低下する。
財務省は10月、2025年1月1日時点での現金残高を7000億ドルと想定。12月26日時点の残高は6890億ドルとなっている。
JPモルガン・チェースの分析によると、債務上限を巡る最も激しい攻防は、民主党大統領と共和党が下院を支配する状況下で起こっている。2011年と13年、15年、23年にそうした状況が発生しており、資金が底を突く1週間足らず前に合意が成立している。
原題:Yellen Says Treasury to Hit New Debt Limit in Mid-January(抜粋)