高橋藍の闘志、西田有志が体現した“プラス1m”…男子バレーなぜ強い?「“ちりつも”です」ティリ監督が“タレント軍団”に徹底した5つの約束事(Number Web)

「あーっ! 今の行けたー!」  西田有志がコートに突っ伏して悔しがる。  ブロックに当たってコート後方に弾き出されたボールに猛ダッシュして飛びつき、手には触れたが、惜しくもつながらなかった。 【秘蔵写真】「めっちゃいい雰囲気」記者も驚いた男子バレー“楽しそうな”練習風景を見る!キャプテン石川祐希に飛びつく仲間たち、藍も西田も感情爆発した歓喜の瞬間  すぐに起き上がり、数秒遅れで壁のスクリーンに再生される映像を見て、自分の“一歩目”を確認する。  アジア選手権開幕を約2週間後に控えた8月中旬の、日本代表の練習風景だ。  この日の練習開始時の円陣で、ロラン・ティリ監督が選手たちに求めたのはそこだった。 「1mプラス。1m早く。どのポジションも、これを意識してください。昨日の練習でもみんな頑張ってやっていましたが、何回か(ボールを)見ているだけというシチュエーションがあった。そうじゃなく、とにかく“一歩”を踏み出す。それが違いを生み出します」  ディグもブロックフォローもブロックもすべて、一歩目の反応を早くすることにより、“プラス1m”を実現する。  練習後ティリ監督に話を聞くと、「“1m”って何でもないように思えるかもしれませんが、それが積み重なれば大きな違いを生むので。“ちりつも”です」とのこと。 “ちりつも”は、今年からティリ監督のフランス語通訳を務める郷倉マリーンさんによる訳だ。「ティリさんの考えが感情と共に伝わってきてわかりやすい」と選手たちに評判の理由がわかる。  その日、白熱したゲーム形式の練習が繰り広げられていた隣のコートでは、石川祐希と小野寺太志が別メニューで練習していた。ロサンゼルス五輪の出場権がかかるアジア選手権が迫る中、経験豊富な中心選手2人が万全の状態でないのは不安材料と言えたが、そんな不安など微塵も感じさせないほど、体育館は熱気とイキのいい声にあふれていた。  声の中心は西田や西本圭吾、高橋藍、リベロの山本智大や小川智大といった選手たち。山内晶大や富田将馬も、時折大声をあげて悔しさをあらわにした。監督やコーチからテーマや課題は与えられるが、決してやらされる練習ではなく、一人一人が向上心を持って自分を追い込んでいた。  練習が終われば、西田や高橋が「シンちゃーん!」と人気ドラマ『VIVANT』のモノマネをして戯れる。オンとオフのメリハリがあり、選手たちが自然体でいられる空間。率直にいい雰囲気だなと感じた。  アジア選手権で優勝を果たし、ロサンゼルス五輪の出場権獲得という今年最大の目標を達成した翌日の記者会見で、チーム最年長36歳の深津英臣は言った。 「みんなが、『自分がやらなきゃ』というふうに思いながら練習しています。ちょっとワイワイやっている時もあるんですけど(笑)、それだけではなくて、しっかり結果も出せるように自分たちに言い聞かせてやっている選手が多いので、こういう結果を掴み取れてよかったと思います」

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