米大学銃撃犯、元同級生が振り返る人物像 「優秀」だが傲慢で気難しい
米ブラウン大学で銃乱射事件を起こしたクラウディオ・ネベス・バレンテ容疑者/Providence Police Department
(CNN) 米ブラウン大学での銃乱射事件とマサチューセッツ工科大学(MIT)の著名な教授殺害事件の動機究明に向けた捜査が進む中、容疑者は元同級生たちから優秀ではあるものの非常に気難しい学生だったとの印象を持たれていることが分かった。
警察は18日、クラウディオ・ネベス・バレンテ容疑者(48)について、自ら撃った銃の傷が原因で死亡しているのが見つかったと発表した。同容疑者は母国ポルトガルでは優秀な学生だったものの、問題を起こしやすい性格だったと、元同級生たちが19日に回想した。
バレンテ容疑者は、MIT教授のヌノ・ラウレイロ氏と共にポルトガル・リスボン大学の高等工科学院(IST)で学んでいた。現在バレンテ容疑者はラウレイロ氏を射殺したとみられている。ISTはCNNに対し、2人が1995年から2000年まで在籍していたことを確認。バレンテ容疑者は技術物理工学の学位取得を目指していたという。
元同級生のフェリペ・モウラ氏は、当該の学部には優秀な学生が集まっていたとしつつ、バレンテ容疑者は良い意味でも悪い意味でも、ひときわ目立っていたと振り返る。
「クラウディオ(・バレンテ容疑者)は明らかに優秀な学生の一人だったが、クラス内で注目を集めようとしていた。自分が他の学生より優れていることを示したいという強い欲求があった」と、モウラ氏はポルトガル語でフェイスブックに投稿した。
モウラ氏によると当時のバレンテ容疑者の態度は不快で、同級生たちとよく口論になっていたという。「全く不必要な口論で、少しもクラスのためにならなかった」
現在リスボンの大学で教鞭(きょうべん)を執るモウラ氏は、CNNからのメッセージに返信しなかった。名前を伏せた元同級生は、モウラ氏のフェイスブックアカウントが本物であることを確認した。
別の同級生、ヌノ・モライス氏はポルトガルのプブリコ紙に対し、バレンテ容疑者とラウレイロ氏はISTでトップクラスの学生だったが、二人の性格は全く異なっていたと語った。
モライス氏によれば、成績ではバレンテ容疑者が上だった。物事を理論的に考える傾向が非常に強かった同容疑者に対し、ラウレイロ氏はどちらかと言えばおっとりとした性格で、より応用的な科目に関する才能があるように思えたという。
ISTを卒業後、バレンテ容疑者は00年に物理学の大学院生としてブラウン大学に入学したが、修了には至らなかった。当時もバレンテ容疑者と連絡を取り続けていたモウラ氏は、同容疑者が再び他の院生と衝突しているのに気づいたと述べている。
ブラウン大学で同級生だったスコット・ワトソン氏は、バレンテ容疑者について「人付き合いが苦手」で、自分が大学内で唯一の友人だったと明かした。同容疑者は米国に馴染(なじ)めず苦労していた。授業に張り合いがなく、食事もまずいと、ひどく不満を漏らしていたとワトソン氏は振り返った。
現在シラキュース大学の教授を務めるワトソン氏によれば、バレンテ容疑者は「親切で温和」に振る舞うこともある一方、興奮しやすいところもあったという。
「彼は授業や教授、生活環境についてしばしば不満を抱き、時には怒りを露(あら)わにしていた」とワトソン氏。バレンテ容疑者とクラスメートが喧嘩(けんか)になり、自分が仲裁しなければならないこともあったと語った。
モウラ氏によると、大学院のプログラムに残るよう自分が説得を試みたものの、バレンテ容疑者は1年後に退学したという。
「クラウディオは、大学院には何の価値もなく時間の無駄だと考えていた。他の生徒は皆無能だと思っていた」。モウラ氏はフェイスブックにそう記している。
ブラウン大学のウェブサイトのアーカイブには、クラスメートに「永久に」退学した旨を伝えるバレンテ容疑者の書き込みが見られる。米紙ニューヨーク・タイムズが最初に報じたこの書き込みには、自分への連絡先のメールアドレスと次のような謎めいた言葉が添えられていた。「最高の嘘(うそ)つきとは、自分自身を騙(だま)せる人間だ。嘘つきはどこにでもいるが、時に最も予想外の場所で急激に増殖する」
当時のブラウン大学の物理学科大学院生名簿によると、バレンテ容疑者はバルス・アンド・ホーリー工学部ビルの122号室に配属されていた。警察によると、同容疑者は先週、同じビルの166号室で銃撃事件を起こしたという。
事件に至るまでの間、バレンテ容疑者が何をしていたかは不明だ。モウラ氏はフェイスブックに、インターネットプロバイダーで働くためポルトガルに戻ったと聞いたと投稿している。警察によると、バレンテ容疑者はビザを取得し、17年に米国に戻ったという。ただし、どのような仕事をしていたかは分かっていない。
確認されている最後の住所はフロリダ州のマイアミだったと、警察は明らかにした。
残された元同級生たちは、この残忍な暴力の動機が何だったのか理解しようと努めている。
「まさか彼があんなことをするとは、思ってもみなかった」。そうモウラ氏は書いている。