「米国売り」強まる、パウエル氏解任リスクで-ドル信認低下の恐れ

Ruth Carson、David Finnerty

  • ドル、ほぼ全ての主要通貨に対し下落-21日のアジア市場
  • FRB議長解任なら米資産への投資家の信頼を揺るがす公算大

米国売りが勢いを増している。トランプ米大統領がパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長を解任できるかどうかを検討していると、週末に伝えられたことが背景。

  21日のアジア市場では祝日による薄商いの中、ドルはほぼ全ての主要通貨に対して下落。投資家は、パウエル議長の解任リスクや、それによって米国資産への投資心理がさらに悪化する可能性を見極めようとしている。売りは他の資産にも波及し、米株価指数先物や米10年国債も下げた。

  ハセット米国家経済会議(NEC)委員長は18日、パウエル議長解任が選択肢となっているかとの質問に対し、「トランプ大統領と同氏のチームがその件を引き続き検討する」と答えた。

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  オーバーシー・チャイニーズ銀行の為替ストラテジスト、クリストファー・ウォン氏は「率直に言って、パウエル氏の解任は信じ難い」と指摘。「米金融当局の信頼性が問われれば、ドルへの信認は大きく損なわれる可能性がある」と指摘した。

  米金融当局の独立性は米資産投資の重要な要素で、パウエル議長解任の可能性は投資家の信頼を揺るがす公算が大きい。ただトランプ氏はある程度のドル安を容認する可能性がある。同氏は通貨安が米製品の競争力を高めるため歓迎する姿勢を示していた。

  ブルームバーグ・ドル・スポット指数は21日に2024年1月以来の低水準を付けた。円は昨年9月以来の水準まで上昇。ユーロも約3年ぶりの高値を付けた。

  取引に詳しい複数のトレーダーによると、ハセット氏の発言を受けて、21日には幾つかのヘッジファンドがドルを売っていた。公に発言する権限がないことを理由に匿名を条件に語った。

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原題:Trump’s Push Against Powell Is Latest Reason to Sell US Assets(抜粋)

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