トランプ氏、中国に100%の追加関税を課すと脅す レアアース輸出規制強化に反発
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アメリカのドナルド・トランプ大統領は10日、来月から中国からの輸入品に対して追加で100%の関税を課すと述べた。
トランプ大統領はまた、自分のソーシャルメディアへの投稿で、重要なソフトウエアに輸出規制を課すと述べた。
トランプ氏はこの日、中国が今週、レアアース(希土類)の輸出規制を強化したことに反発。中国が「とても敵対的になって」おり、世界を「人質に取ろうとしている」と非難した。そのうえで、中国の習近平国家主席との会談を欠席する可能性を示唆した。
トランプ氏はホワイトハウスで記者団に、会談は中止していないとしつつ、「やるかどうか」は分からないが「いずれにせよ、私は行くつもりだ」と述べた。
トランプ大統領の発言を受けて金融市場は下落。アメリカの主要500社を追跡するS&P500種株価指数は2.7%下落して取引を終え、今年4月以降で最大の下げ幅を記録した。
中国は、レアアースおよびその他の特定の重要資源の生産で圧倒的な地位を占めている。こうした資源は、自動車やスマートフォン、その他多くの製品の重要な部品となっている。
今年初めにトランプ氏が中国製品への関税を引き上げた後、中国が輸出規制を強化した際には、こうした資源に依存する多くのアメリカ企業から抗議の声が上がった。自動車大手フォードは、生産を一時的に停止せざるを得なかった。
中国はレアアースの輸出規制を強化する措置に加え、アメリカのテクノロジー企業クアルコムを独占禁止法違反の疑いで調査を開始している。これにより、同社による別の半導体メーカーの買収が停滞する可能性がある。
クアルコムはアメリカに本社を置いているが、その事業の相当部分が中国に集中している。
中国政府はまた、アメリカと関係のある船舶に対して新たな港湾使用料を課すと発表した。これには、アメリカ企業が所有または運航する船舶が含まれている。
トランプ氏は10日、ソーシャルメディアへの投稿で、「中国では非常に奇妙なことが起きている!」、「(中国は)とても敵対的になっている」と書いた。
その結果、年初と比較して、中国製品に対するアメリカの関税は30%、アメリカ製品に対する中国の関税は10%、それぞれ追加で課されることになった。
両国の当局者はその後、動画配信アプリTikTok、農産物の購入、レアアースや半導体などの先端技術の貿易を含む問題について、一連の協議を行ってきた。
また、中国の習国家主席とトランプ大統領は、今月末に韓国で開催される首脳会議で会談する予定となっていた。
ブルッキングス研究所のフェローで中国問題に詳しいジョナサン・チン氏は、習主席の最近の動きは今後の協議に影響を与えようとするものだと指摘。レアアースに関する指令も、即時に施行されるものではないと述べた。
「トランプ政権は、次々に起こる問題に、モグラ叩きのような対応を強いられている」
チン氏はまた、中国がアメリカの報復を懸念しているとは考えていないと付け加えた。
「中国が『解放の日』関税と、その後に続いたエスカレーションとデエスカレーションのサイクルから得た教訓は、中国側の方が痛みに対する耐性が高いということだ」とチン氏は述べた。「中国の視点からすれば、トランプ政権側がひるんで目をそらしたということになる」。
これまでの貿易協議の中で、中国はアメリカによる半導体への規制緩和を求めてきた。また、中国企業がアメリカ市場に製品を販売しやすくするため、より安定した関税政策の確保にも関心を示している。
習主席はこれまで、中国がレアアース生産を独占していることを交渉材料として利用してきた。
しかし、今週発表された輸出規制は、外国の防衛関連メーカーを標的としており、特に深刻なものだと、米戦略国際問題研究所(CSIS)の重要鉱物安全保障プログラムを率いるグレースリン・バスカラン氏は述べた。
「アメリカの防衛産業を標的にすることほど、アメリカを動かすものはない」とバスカラン氏は述べた。
「アメリカは交渉をするしかないはずだ。私たちの選択肢は限られている。地政学的緊張と紛争発生の可能性が高まる時代において、産業防衛基盤を構築する必要がある」
トランプ大統領と習主席の会談は現時点で実現が難しい情勢にあるが、バスカラン氏は、それが完全に白紙になったわけではないと述べた。バスカラン氏は、協議のための時間と余地はまだ残されているとし、中国の新たな規制は12月まで施行されないと指摘した。
「交渉はおそらく、間近に迫っている」とバスカラン氏は述べた。「誰がどこで交渉するのかは、いずれ決まるはずだ」。