防衛関連ETF、資金流入が急拡大-NATO加盟国の支出増に注目
- トランプ氏の圧力を受け欧州諸国は防衛費増額に向け動いている
- NATO加盟国は今後10年間は支出を増額せざるを得ないとの指摘
トランプ米大統領が欧州各国に国防費増額を迫る中で、防衛や武器関連の企業に重点的に投資する上場投資信託(ETF)への資金流入が急拡大している。
ブルームバーグのデータによれば、「セレクト・ストックス・ヨーロッパ・エアロスペース・アンド・ディフェンスETF」(EUAD)は昨年10月の立ち上げから同年末まで資金流入がほとんどなかったが、今年に入り2億8000万ドル(約420億円)を集めた。
このファンドは、フランスの防衛関連企業タレスやドイツの戦車・弾薬メーカーのラインメタルなど、保有銘柄の大幅値上がりで今年40%上昇している。
同データによれば、欧州では、米国拠点の企業を含め防衛関連銘柄全般の動きに連動する「フューチャー・オブ・ディフェンス・UCITS・ETF」(NATO LN)のロンドン市場上場商品が19%上昇する中、約9億1000万ドルの資金を取り込んだ。この資金流入を受け、同ファンドの資産規模は年初来で2倍余りに膨らんだ。
トランプ氏の圧力を受け欧州諸国は防衛費増額に向け動いている。米政府高官らがウクライナでの停戦に向けロシアと協議を始め、支出拡大への議論は新たな緊急性を帯びた。
ヘグセス米国防長官は最近、欧州の北大西洋条約機構(NATO)加盟国は国内総生産(GDP)の5%を防衛費に充てるのを目標にすべきだとした。
欧州上場のNATOファンド開始を支援したHANetfの共同創業者兼共同最高経営責任者(CEO)、ヘクター・マクニール氏は最近の資金流入について、「防衛業界を対象とする投資家の多くは、長期投資家だ。彼らは全ての国、とりわけNATO加盟国は今後少なくとも10年間は支出を増額せざるを得ないとみている」と指摘した。
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