トランプ米大統領の3期目はあり得るのか-QuickTake
トランプ米大統領は3期目を目指す考えを示唆している。
トランプ氏は長年、集会でたびたびこの意向に言及しており、支持者から熱狂的な歓声が上がることも多い。以前の発言では本気かどうか見極めが困難だったが、3月30日のNBCニュースとのインタビューで、トランプ氏は大統領として3期目を務める可能性について「ジョークではない」と語った。
また、3期目を可能にする「方法はある」と話し、「多くの人が私にそれを望んでいる」と述べた。
トランプ氏の盟友らは、その可能性を真剣に主張している。かつて同氏の最高戦略責任者を務めた著名な保守派評論家スティーブ・バノン氏は、3選を公然と支持し、法的なハードルを回避するシナリオを提示している。
3期目を目指すトランプ氏の試みは、大統領が2期を超えて選出されることを禁じる米憲法修正第22条の制限に挑むことになる。
大統領の3期目出馬は合法か
修正第22条には、「いかなる者も、2回を超えて大統領に選出されることはできない」と明記されている。
また、同条項では、緊急時に大統領職を引き継いだ副大統領などが選挙を経ずに2年を超す期間にわたって大統領職を務めた場合、1回を超えて選出されることも禁じている。
これまでに2期を超えて務めた大統領はいるのか
米国の歴史を振り返ると、2期を超えて大統領を務めたのはフランクリン・D・ルーズベルトだけだ。ルーズベルトが1944年の選挙で4回目の大統領選勝利を収めた後、1947年に議会は修正第22条を可決した。
初代大統領ジョージ・ワシントンは1797年に2期目の任期満了後、3期目への出馬を辞退した。この慣習は、それから150年後に修正第22条が可決されるまで、非公式の伝統として残った。
トランプ氏の盟友が法律を改正できるのか
修正第22条を変えるには、さらなる憲法改正が必要となる。
共和党のアンディ・オグルス下院議員は今年1月、大統領の最初の2期が連続していない場合に限り、前大統領による3期目の立候補を認める改正案を提出した。同案が実現すれば、存命の歴代大統領のうち出馬できるのはトランプ氏のみとなる。
上院では任期制限を緩和するいかなる法案も民主党の十分な支持を得られそうにない。
また、新たな憲法改正は極めてまれだ。最近では連邦議会議員の給与体系に関する改正が1992年に可決されている。
トランプ氏の3期目就任に向けた他の道筋はあるのか
修正第22条は、大統領が3期目を狙うことを無条件で禁止していると広く考えられている。しかし、保守派の中には、憲法は大統領が3期目に「選出」されることを禁じているが、3期目を「務める」ことを明確に禁じているわけではないと指摘する者もいる。この「抜け穴」は法廷で問われたことがない。
こうした主張に基づけば、2期務めた元大統領が他の候補者の副大統領候補として選挙戦に加わり、その候補者が当選後に大統領を辞任すれば、法律により副大統領が大統領に就任する可能性がある。
これは、3月30日のインタビューでトランプ氏がその存在を認めた「方法」の一つだ。現職副大統領であるJ・D・バンス氏の大統領選出馬時に副大統領候補として選挙運動を行うことが、大統領職に再び就くことにつながる可能性を明確に認めた。また、「その他の」戦略についても言及したが、内容については明言を避けた。
ジョージタウン大学のミシェル・グッドウィン教授(憲法学)は修正第22条について、元大統領が副大統領になることを禁じているとは考えないが、米国の法制度では、辞任によってであっても、2期務めた大統領の再任は認められないだろうとの見方を示した。
大統領へのもう一つの道は、下院議長になることだ。憲法上、下院議長は議員である必要はない(ただし、議員以外の人物が務めたことはない)。議長になるには、下院議員から指名され、下院議員の過半数の承認を得るだけでよい。議長は大統領継承順位第2位であるため、大統領と副大統領がともに辞任した場合、選挙を経ていない人物が大統領になる可能性はある。
どんなシナリオでも大きな不確定要素になるのは、トランプ氏の年齢だ。78歳のトランプ氏は現職大統領としては最高齢の部類に入る。バイデン前大統領(82)は、トランプ氏との討論会で惨敗し年齢や適格性を巡る懸念が強まり2024年の選挙戦から撤退した。
原題:Can President Trump Serve More Than Two Terms?: QuickTake(抜粋)